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太田 裕美

木綿のハンカチーフ

  • 作曲: 筒美 京平
#邦楽ポップス
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木綿のハンカチーフ - 楽譜サンプル

木綿のハンカチーフ|歌詞の意味と歴史

基本情報

「木綿のハンカチーフ」は、作曲・筒美京平、作詞・松本隆による1975年発表のポップス。代表的な歌唱は太田裕美で、軽やかなメロディと物語性の高い歌詞が融合した昭和歌謡の名曲として知られる。手紙の往復をモチーフに、都会と故郷、男女の視点が交互に現れる構成が特徴で、聴き手に強い情景喚起をもたらす。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、上京した彼と故郷に残る彼女のやり取りが進むにつれ、価値観のすれ違いが露わになるドラマを描く。彼は華やかな都会への憧れを語り、彼女は変わらぬ愛を訴える。終盤、彼女が求める「木綿のハンカチーフ」は、涙を受け止める象徴であり、素朴で誠実な気持ちのメタファー。別れの痛みと自立の決意が静かに交錯し、人生の岐路で人が選ぶ価値観の差異を浮かび上がらせる。

歴史的背景

高度経済成長期を経た1970年代半ば、日本では都市集中と上京志向が一般化した。本作はその社会状況を背景に、地方と都市の距離感、メディアが創るきらびやかな消費文化へのまなざしを、等身大の言葉で切り取る。筒美京平の洗練されたポップセンスと松本隆の叙情性が時代感覚に合致し、聴きやすさと文学性の両立によって幅広い世代の支持を得た。

有名な演奏・映画での使用

太田裕美のオリジナル歌唱が決定版として親しまれ、多数のアーティストによるカバーやライブ・アレンジも存在する。テレビの音楽特番やCMで引用される機会があり、カラオケの定番曲としても定着。具体的な映画での使用作品名は情報不明だが、昭和歌謡を象徴する楽曲としてメディア露出は継続的に見られる。

現代における評価と影響

対話体の歌詞構造、覚えやすいメロディ、日常語の繊細な比喩は、後続のJ-POPに大きな示唆を与えた。カバーやリメイク、SNSでの楽曲解釈の共有を通じて若い世代にも再発見が進む。作家チームによる高度なソングライティングの見本として、音楽制作や日本語詞の表現研究においてもしばしば参照され、ポップスが物語を語る力の好例と評価されている。

まとめ

「木綿のハンカチーフ」は、時代の空気を映す物語性と普遍的な感情が結びついた名曲。都会と故郷、憧れと現実の狭間で揺れる心を、柔らかなメロディに託した一曲として、今なお鮮やかな存在感を保ち続けている。