宇多田ヒカル

Automatic

#邦楽ポップス

Automatic - 楽譜サンプル

「Automatic」は、宇多田ヒカルが15歳で発表した日本デビュー・シングル（1998年、東芝EMI）。作詞・作曲は本人。R&Bのグルーヴと洗練されたメロディを備え、両A面「time will tell」と共にミリオンセールスを記録。J-POPの転換点として広く知られる。

タイトルが示す“自然に反応してしまう”感覚を核に、恋に落ちた瞬間の高揚と素直さを描く。電話越しの距離感や都会的な会話感覚がモチーフとなり、英語フレーズと日本語の行き来が感情の揺れを増幅。主体的で等身大の一人称が、当時の若い世代に強く響いた。

90年代後半の日本のポップシーンはダンス／ロックが主流だったが、彼女は米国育ちの感性でR&B寄りのソングライティングを導入。滑らかなメロディとシンコペーション、抑制の効いたビート、緻密なコーラスワークが共存し、英日バイリンガル表現の自然さが新鮮な衝撃を与えた。

発売以降、本人のコンサートで重要曲として扱われることが多く、ライブ定番の一つ。代表的なテレビ出演・映像作品の網羅情報は情報不明。映画での顕著な使用や公式なタイアップの詳細も情報不明だが、楽曲自体の認知は非常に高い。

「Automatic」はR&B的ボーカル運びと日本語ポップの親和を示した象徴作として、のちのJ-POPに大きな参照点を残した。自作自演の若き才能がメインストリームを更新し、以降の女性シンガーやトラックメイキングの潮流に影響。カバーやリミックスの全容は情報不明。

等身大の言葉、都会的サウンド、卓越したメロディが結晶した本作は、1998年の鮮烈なデビューを越えて現在も色褪せない。恋の衝動を“Automatic”という強い比喩で掬い取り、時代を越える普遍性を獲得した名曲として、今なお多くの聴き手を惹きつけている。