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平原 綾香

Jupiter

  • 作曲: HOLST GUSTAV (NON PROTECTED SHARES)
#邦楽ポップス#クラシック
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Jupiter - 楽譜サンプル

Jupiter|作品の特徴と歴史

基本情報

Jupiter(木星)は、Gustav Holstの管弦楽組曲『惑星』Op.32の第4曲にあたる楽章で、英題は“Jupiter, the Bringer of Jollity”。邦訳は「木星―快楽をもたらす者」とされます。壮麗な大編成オーケストラによる華やかな響きと、祝典を思わせるエネルギーで広く親しまれ、単独での演奏機会も非常に多い名楽章です。中央部で提示される広々としたコラール風主題は特に名高く、その後の派生的展開にもつながりました。

音楽的特徴と表現

冒頭から弦と金管、打楽器が一体となって推進する快活なリズムが全曲を牽引します。行進曲風のモティーフや跳躍を含む旋律が入れ替わり立ち替わり現れ、音量と音域を拡張しながら祝祭的な高揚へ向かう構成が特徴的です。中間部ではテンポを落とし、厚い和声に支えられた晴朗で気高いコラールが提示され、前半の躍動と見事なコントラストを形成。再現部では活気ある素材が回帰し、オーケストレーションの巧緻さとダイナミクスの幅広さが際立ちます。

歴史的背景

『惑星』は第一次世界大戦期の1910年代半ばに着想・作曲され、占星術的性格付けに基づく各楽章が性格的対比をなします。Jupiterは寛大さや朗らかさを象徴する楽章として構想され、明るく陽性のキャラクターを全面に押し出しています。組曲は段階的に披露され、私的な紹介に続いて全曲の公的初演が行われ人気を確立しました。Jupiterの親しみやすさは早くから聴衆の支持を集め、組曲全体の普及にも大きく寄与しました。

使用された映画・舞台(該当時)

本楽章は単独で取り上げられる機会が多く、式典や放送で断片的に用いられる例が見られますが、特定の映画・舞台作品名についての網羅的な情報は情報不明です。なお、中間部のコラール主題は後年ホルスト自身により讃美歌旋律(通称“Thaxted”)として転用され、宗教的・儀礼的文脈で広く歌われるようになりました。原曲Jupiter自体はあくまで器楽の管弦楽曲です。

現代における評価と影響

Jupiterはその明快な構成と強靭なモチーフ性、そして忘れがたいコラール主題により、今日でも入門から愛好家まで幅広い層に支持されています。教育的・普及的なコンサートでも頻繁に取り上げられ、録音も数多く流通。さらに『惑星』全体の語法は20世紀以降のオーケストレーションや映画音楽の書法にも影響を与えたと指摘され、Jupiterはその象徴的存在として位置づけられています。

まとめ

祝祭的な躍動と崇高なコラールが凝縮されたJupiterは、ホルストの想像力とオーケストラ書法の妙を体現する傑作です。独立曲としての魅力に加え、後世の文化圏に広がった影響力も大きく、初めて聴く人にも、聴き込む人にも発見がある楽章と言えるでしょう。