HARK THE HERALD ANGELS SING
- 作曲: TRADITIONAL

HARK THE HERALD ANGELS SING - 楽譜サンプル
HARK THE HERALD ANGELS SING|歌詞の意味と歴史
基本情報
英語讃美歌「Hark! The Herald Angels Sing」は世界中で歌われるクリスマス・キャロル。作曲者は伝承曲扱い(TRADITIONAL)だが、現在普及する旋律はメンデルスゾーンの合唱曲(1840)をウィリアム・H・カミングスが1855年に讃美歌化した版。歌詞はチャールズ・ウェスレー。典型的には四声合唱とオルガン、あるいはブラス・バンド編成で演奏される。
歌詞のテーマと意味
内容はルカ福音書の天使の告知に基づき、救い主の降誕、地上の平和、人と神の和解を高らかに祝う。神学的語彙を含みつつも明快な宣言口調で、聴衆を合唱へ誘う構成が魅力。旋律は上向するフレーズと堂々たる終止で「喜び」を強調し、会衆賛美に適した反復構造が歌いやすさを支える。
歴史的背景
1739年にウェスレーが原詩を刊行。のちにジョージ・ホイットフィールドが冒頭句などを改稿し、歌詞が広まりやすくなった。旋律はメンデルスゾーンの祝典曲から採られ、1855年にカミングスが賛美歌用に編曲して定着。20世紀にはデイヴィッド・ウィルコックスの華やかなディスカントが加わり、英国礼拝音楽の現場で事実上の標準版となった。
有名な演奏・映画での使用
ケンブリッジ大学キングズ・カレッジ聖歌隊の「九つの朗読と賛美歌」では終曲として恒例。映像作品では『A Charlie Brown Christmas』のラストで合唱が象徴的に用いられた。録音はマライア・キャリーやフランク・シナトラ、ナット・キング・コールほか数多く、合唱、ブラス、オルガン、ゴスペルなど編成も多彩に展開されている。
現代における評価と影響
宗教曲ながら世俗シーンにも浸透し、冬季の再生数や検索需要は常に上位。教育現場では四声和声やディスカント学習の好教材となり、ブラスやゴスペルへの編曲も盛ん。地域合唱祭や街路のキャロリング、商業施設のBGMにまで広く定着し、季節のムードを喚起する「音のシンボル」として機能している。
まとめ
本曲は、聖書に根差した普遍的メッセージと祝祭的な旋律を併せ持つクリスマスの金字塔。礼拝からコンサート、ポップスまで越境する柔軟性が長寿の秘密であり、今後も季節のスタンダードとして世界で歌い継がれていく。