JOHN LENNON & YOKO ONO
Happy Xmas(War Is Over)
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON,ONO YOKO,LENNON YOKO ONO

Happy Xmas(War Is Over) - 楽譜サンプル
Happy Xmas(War Is Over)|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Happy Xmas(War Is Over)」は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが制作した1971年発表のクリスマス・ソング。クレジットはJohn & Yoko/Plastic Ono Band with the Harlem Community Choir。プロデュースはフィル・スペクターで、子ども合唱と柔らかなアコースティック・サウンドが核となる。米国でシングルとして先行発表され、翌年以降もホリデー期に再評価され続ける定番曲となった。楽曲は祝祭性と社会的メッセージを兼ね備え、淡いストリングスとベルの響き、合唱による厚みが印象的だ。
歌詞のテーマと意味
クリスマスのムードを借りながら、年の終わりに“いま何を選び取るのか”を静かに問い直す楽曲である。特定の誰かではなく、あらゆる立場の人々へ等しく語りかけ、戦争と暴力の連鎖を終わらせる意志を呼びかける。コーラスでは「戦争はあなたが望めば終わる」という平和キャンペーンのスローガンを反復し、個人の選択が社会を変えるというメッセージを強調。子ども合唱の参加は、未来世代への責任と希望を象徴し、優しい旋律と相まって訴求力を高めている。
歴史的背景
制作背景には、レノンとオノが展開した反戦活動がある。1969年のビルボード掲出「WAR IS OVER! IF YOU WANT IT」をはじめ、ベッド・インなどの平和運動の延長線上で生まれた作品だ。発表当時はベトナム戦争期で、政治的緊張と社会の分断が続いていた。こうした状況下で、彼らは対立を煽るのではなく、ホリデー・ソングの形をとって広い層にメッセージを届ける道を選んだ。祝祭と告発の二面性を併せ持つ点が、本曲の歴史的独自性である。
有名な演奏・映画での使用
最も知られる音源は、Plastic Ono BandとHarlem Community Choirによるシングル・バージョンで、透明感のある児童合唱が楽曲の象徴となった。発表以降、多数のアーティストがカバーし、合唱団や学校、チャリティ公演の定番曲としても広く歌われている。具体的な映画での使用作品名は情報不明だが、ホリデー期の番組やイベントで頻繁に取り上げられることが多い。
現代における評価と影響
本曲はクリスマス・スタンダードとして定着しつつ、単なる季節曲に留まらない“市民の歌”として受け継がれている。ストリーミング時代になっても毎年冬に再浮上し、社会情勢が緊迫する局面でそのメッセージ性が再評価される傾向が強い。音楽面では、フォーク・ロックの語り口に合唱とオーケストレーションを融合させる手法が、後続のホリデー作品へ影響を与えた。個人の選択と希望を掲げる平易な言葉運びは、世代や地域を超えて共感を呼び続けている。
まとめ
「Happy Xmas(War Is Over)」は、温かな祝祭性と鋭い社会意識を同居させた稀有なクリスマス・ソングである。反戦のメッセージを普遍的な人間の希望として提示し、子ども合唱の無垢な響きで未来への責任を訴える。半世紀を経てもなお、聴き手に行動の主体を取り戻すよう促す、その核は色あせない。