つじ あやの
風になる
『猫の恩返し』
- 作曲: つじ あやの

風になる - 楽譜サンプル
風になる|歌詞の意味と歴史
基本情報
つじあやのが作詞・作曲・歌唱を手がけた「風になる」は、2002年発表のシングル。軽やかなウクレレと素朴な歌声が印象的で、スタジオジブリ映画『猫の恩返し』の主題歌として広く知られる。ポップスの親しみやすさにフォークの温かさを溶け込ませた、彼女の代表曲である。
歌詞のテーマと意味
タイトルにある“風”は、自由や解放、前へ進む推進力のメタファーとして機能する。大切な存在に出会い、心が軽くなって世界が鮮やかに見える感覚を、日常語でやわらかく描写。過剰なドラマを避け、生活の手触りの中に希望と勇気を見出す点が魅力。聴き手自身の体験に寄り添う普遍性が高い。
歴史的背景
2000年代初頭、シンガーソングライターの多様化が進む中、つじあやのはウクレレを軸に素朴で新鮮なサウンドを提示。本作は映画タイアップにより一挙に知名度を高め、ラジオやテレビでも長くオンエア。アコースティック回帰の潮流とも響き合い、幅広い層に受け入れられた。
有名な演奏・映画での使用
『猫の恩返し』のエンディング主題歌として使用。作品の余韻をやさしく包み、物語の“解放”を象徴する音楽として機能した。発表以降、さまざまなカバーやアレンジが生まれ、合奏・合唱・吹奏楽など教育現場や地域イベントでも取り上げられる機会が多いとされる。
現代における評価と影響
ストリーミングやカラオケでも定番化し、世代や国境を越えて聴かれる一曲として定着。ミニマルな編成で豊かな情景を生むアレンジは、後続のSSWやインディーポップにも示唆を与えた。過度に起伏させず、メロディと言葉の肌触りで魅せる書法は現在も有効なリファレンスである。
まとめ
「風になる」は、等身大の言葉とウクレレの響きで“前に進む心”を描いた名曲。映画との強固な結び付きと歌そのものの普遍性が両立し、今なお新鮮に響く。初めて聴く人にも入口が広い、温かいポップスだ。