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暗い日曜日/Sombre Dimanche

  • 作曲: SERESS REZSO
#シャンソン
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暗い日曜日/Sombre Dimanche - 楽譜サンプル

暗い日曜日/Sombre Dimanche|歌詞の意味と歴史

基本情報

ハンガリーの作曲家レジェー・セレシュ(SERESS REZSO)による1933年の歌曲。原題“Szomorú vasárnap”、英題“Gloomy Sunday”、仏題“Sombre Dimanche”。ハンガリー語詞はLászló Jávor、英語詞はSam M. Lewis。1935年にパール・カルマールが録音し、世界に広まった。日本では「暗い日曜日」の邦題で知られるバラードである。

歌詞のテーマと意味

歌詞は失恋と喪失、日曜に募る絶望、死への希求を静かに描く。原詩は失われた恋人を悼む内容で、英語版は陰鬱さが強いが、結末を夢とする版もある。いずれのテキストでも、弔歌的イメージと諦念が核にあり、単なる悲嘆ではなく、記憶と祈りが交錯する内省的世界が強調される。

歴史的背景

1930年代ブダペストのカフェ文化で誕生。世界恐慌後の不安が影を落とした。やがて“ハンガリーの自殺曲”とする報道や噂が広まったが、因果関係は立証されていない。BBCは曲調の陰鬱さを理由に長年放送を自粛し、2002年に解除。作曲者セレシュは晩年に自死したが、曲との直接的関連は情報不明とされ、センセーショナルな逸話は検証を要する。

有名な演奏・映画での使用

代表的録音は、1935年パール・カルマール、1941年ビリー・ホリデイ。ホリデイ版は決定的名唱として定着し、英語圏での知名度を決定づけた。仏語版“Sombre Dimanche”ではダミアやセルジュ・ゲンスブールの録音が著名。映画『Gloomy Sunday – Ein Lied von Liebe und Tod』(1999)では、曲が物語の核として用いられ、楽曲の神話性を強めた。その他の使用例は情報不明。

現代における評価と影響

マイナー調の哀切な旋律、緩やかなテンポ、下降志向の和声が多様な解釈を可能にし、ジャズ、シャンソン、ポップスで歌い継がれる。近年も配信やライブで新録が続き、歌手やピアニストの表現力を測るリファレンス曲として扱われることが多い。都市伝説的な話題性に留まらず、楽曲構成とテキストの親和性が学術的にも参照されている。

まとめ

暗い日曜日は、個人の喪失を普遍的悲しみへ昇華した20世紀の名歌である。噂に惑わされず、歌詞の内的世界と旋律の美をていねいに味わうことで、静かな悲しみを品格ある音楽へと結晶化した本曲の本質に近づけるだろう。