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You Go to My Head

  • 作曲: COOTS J FRED
#スイング#スタンダードジャズ
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You Go to My Head - 楽譜サンプル

You Go to My Head|楽曲の特徴と歴史

基本情報

J. Fred Coots作曲、Haven Gillespie作詞の「You Go to My Head」は1938年に発表されたポピュラー・ソングで、現在は代表的なジャズ・スタンダード。32小節AABA形式が一般的で、歌詞付きで演奏されることが多いが、器楽アレンジも盛んに行われている。メロディの陰影と洗練された和声により、ヴォーカル・インスト双方で解釈の幅が広いことが人気の理由となっている。

音楽的特徴と演奏スタイル

半音階的に上下する旋律線と、セカンダリー・ドミナントや裏コードを活用した和声進行が特徴。調性感がたゆたうように感じられる設計が、酔いにも似た浮遊感を生む。テンポはバラード〜ミディアムが定番で、ルバートのイントロからスウィングに入る構成もしばしば。ヴォーカルは語り口やフェイク、ブレスの配置が要となり、インストでは繊細なリハーモナイズや経過和音の使い方で表情が大きく変わる。

歴史的背景

ティン・パン・アレー期の洗練を備えた本作は、当初ポピュラー分野で親しまれ、その後ジャズ界で定着した。作曲者のCootsと作詞家Gillespieは「Santa Claus Is Comin’ to Town」でも知られる名コンビで、本曲でも職人芸的なメロディ運びと語感の良さが際立つ。出版や初演の詳細な経緯・初演者などの確定情報は情報不明だが、1938年以降に数多くの楽団や歌手によって広まり、スタンダード化した。

有名な演奏・録音

ビリー・ホリデイの録音は本曲の代表的名唱として知られ、後年にはフランク・シナトラも取り上げたことで、ポピュラーとジャズ双方の文脈で再評価が進んだ。以降、多数のシンガーとジャズ・コンボによりレコーディングが重ねられ、スタンダード集やリアルブックにも収載。器楽版ではバラードでの抒情的アドリブが定番で、テンポアップしたスウィングやボサノヴァ風など多彩な解釈も見られる。

現代における評価と影響

高度な旋律線と和声により、ヴォーカリストの表現力やインプロヴィゼーションのセンスを試す教材曲として評価が高い。コンサート、ジャズクラブ、音楽大学のレパートリーでも定番で、録音史・演奏史の中で新旧の解釈が折り重なっている。スタジオ録音からライブまで場面適応力が高く、編成やキー変更にも柔軟に耐えるのが強み。映画やドラマでの具体的使用例は情報不明。

まとめ

「You Go to My Head」は、感情の揺らぎを巧みに描く旋律と柔軟なハーモニーが魅力のスタンダードで、歌でも器楽でも深い解釈を誘う。初出の細部に不明点はあるものの、1938年の誕生以来、名唱・名演を通じて長く愛され、今日も第一線のレパートリーとして息づいている。演奏者にとっては表現力を磨く格好の題材であり、聴き手には時代を超える美意識を提示する一曲である。