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兵隊が戦争に行くとき/QUAND UN SOLDAT

  • 作曲: LEMARQUE FRANCIS
#シャンソン
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兵隊が戦争に行くとき/QUAND UN SOLDAT - 楽譜サンプル

兵隊が戦争に行くとき/QUAND UN SOLDAT|歌詞の意味と歴史

基本情報

「兵隊が戦争に行くとき(原題:Quand un soldat)」は、フランスの吟遊詩人的ソングライター、フランシス・ルマルク(Francis Lemarque/LEMARQUE FRANCIS)による作品。作曲者はLEMARQUE FRANCIS、作詞者も同一人物とされる。発表年は情報不明。言語はフランス語、ジャンルはシャンソンに位置づけられる。穏やかなメロディに素朴な伴奏が重なり、語りかけるような歌唱が映える曲で、作者自身の歌唱に加え、イヴ・モンタンがレパートリーとして取り上げたことで広く知られるようになった。

歌詞のテーマと意味

題名が示す通り、兵士が戦地へ赴く瞬間を、残される人々の視線や当人の心情に寄り添って描く。個人の名もなき人生が国家的な出来事に巻き込まれる不条理、別れに伴う喪失感、そして日常の延長線上に突然現れる「戦争」という現実を、過度な扇情を避けた言葉で静かに訴える。歌詞は直接的なスローガンに頼らず、身近な風景の断片や呼びかけの口調を通じて普遍的な反戦のメッセージを結晶化させている。抑制の効いた語り口は聴き手に想像の余白を残し、兵士と市井の人々双方の心の揺れを浮かび上がらせる。

歴史的背景

本作は第二次世界大戦後のフランス社会に生まれたシャンソンで、戦後復興の只中でありながら、海外での軍事的関与が続いた時代の空気と共鳴する。インドシナ戦争やアルジェリア独立戦争の時期と重なる文脈でしばしば語られ、個人の視点から戦争を問う姿勢は、社会性を帯びたシャンソンの系譜に連なる。政治的スローガンではなく生活の語彙で描くことで、特定の出来事に回収されない普遍性を獲得し、長く歌い継がれる下地を築いた。具体的な初演や初録音の詳細は情報不明だが、戦後フランス文化の記憶の一部として位置づけられている。

有名な演奏・映画での使用

代表的な歌唱としてイヴ・モンタンの録音・舞台での取り上げが知られるほか、作者フランシス・ルマルク自身の歌唱も重要な参照点となる。ほかの著名カバーや、特定の映画・ドラマでの使用についての確定情報は情報不明。ただし、シャンソンの名曲として多くの歌手がレパートリー化してきた範疇にあり、コンサートや小劇場の文脈で継続的に演奏されてきた。

現代における評価と影響

今日ではフランス語圏の反戦歌・社会派シャンソンを語る際にしばしば参照される一曲であり、学校教育や市民イベント、記念式典などで歌われる機会もある。派手な高揚ではなく親密な語りに重心を置くため、独唱とギター、ピアノと声といった最小編成でも説得力が保たれ、翻訳歌唱でもメッセージが伝わりやすい。特定の時代を超えて、個人の尊厳と戦争の現実を静かに照らす歌として評価され、プレイリストやカバー・プロジェクトの中で今も命脈を保ち続けている。

まとめ

「兵隊が戦争に行くとき」は、個人の視点に立って戦争を見つめ直すシャンソンの精華である。情報不明な点は残るものの、フランシス・ルマルクの端正な作詞作曲と、イヴ・モンタンらの歌唱によって普及した事実は、作品の持つ普遍性を裏づける。スローガンに頼らないからこそ、聴き手の経験に重なり、時代を超えて問いを投げかけ続ける反戦歌の定番として位置づけられている。