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Lady Madonna
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Lady Madonna - 楽譜サンプル
Lady Madonna|歌詞の意味と歴史
基本情報
Lady Madonnaは、ザ・ビートルズが1968年に発表したシングル曲。作曲はレノン=マッカートニー名義で、リードはポール・マッカートニー。B面はジョージ・ハリスン作のThe Inner Light。1968年2月、ロンドンのEMIスタジオで録音され、ブギウギ風のピアノとタイトなリズム、サックスが特徴的なロック/ポップナンバーとして仕上がった。UKシングル・チャート1位、米Billboard Hot 100では4位を記録。オリジナル当時はアルバム未収録の単独シングルとして流通した。
歌詞のテーマと意味
タイトルに含まれる“Madonna”は宗教的聖母像を想起させつつ、歌の焦点は日々の家計や育児に追われる庶民の母親像にある。週ごとの支払い、食卓のやりくり、子どもたちの成長と不安—そうした現実を観察する短いスケッチが連なる。説教や悲嘆ではなく、強くしたたかな生活者への眼差しがあり、ポール特有の人間味とユーモアで、働く母の尊厳とたくましさを描き出している。歌詞の全文はここでは扱わない。
歴史的背景
サウンド面では、当時のスタジオ実験的な志向から一歩引き、ニューオーリンズR&Bやファッツ・ドミノに通じる原点回帰のピアノ・ロックを志向。録音はメンバーがインドでの修行に向かう直前の時期で、ビッグバンド風サックスの導入や手拍子など、ライヴ感のあるアレンジが試みられた。サイケデリック期の余韻を残しつつも、のちのGet Back/Let It Be的なルーツ志向への橋渡しとなった点が重要である。
有名な演奏・映画での使用
プロモーション用フィルムが制作され、実際にはHey Bulldogのレコーディング映像を編集して用いたことでも知られる。ビートルズ解散後はマッカートニーが自身のツアーで頻繁に取り上げ、観客参加型のピアノ・ロックとして定番化。カバーではルーツとなったファッツ・ドミノ版が著名で、楽曲の出自と影響の相互性を示す好例となった。映画での使用については情報不明。
現代における評価と影響
Lady Madonnaは、複雑なスタジオ実験からシンプルで骨太なグルーヴへ回帰した転換点として高く評価される。ブギウギ・ピアノを主役に据えたアレンジは、その後のピアノ主導ロックの教科書となり、多くのアーティストのライブ・レパートリーに定着。社会的テーマを軽やかなポップに落とし込む手腕は、ポールの作家性を示す代表例として音楽批評でも頻繁に引用される。
まとめ
日常の強さを讃える視線と、耳に残るピアノ・リフ、躍動的なアンサンブル。Lady Madonnaは1968年の時代空気と原点回帰の勢いを封じ込め、現在も色褪せない普遍性を保っている。