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AFICHES

  • 作曲: STAMPONE ANTONIO ATILIO
#タンゴ
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AFICHES - 楽譜サンプル

AFICHES|歌詞の意味と歴史

基本情報

AFICHES(アフィチェス)は、作曲家アティリオ・スタンポーネによるアルゼンチン・タンゴ。作詞はオメロ・エスポシト。原題の意味は「ポスター」で、歌唱を伴うカンシオン系タンゴに属する。初演者・初出年は情報不明。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、街角に貼られたポスターの華やかさと、現実の恋のほろ苦さを対比させる都会詩。宣伝文句のような甘い幻想が剥がれ落ちる過程を、辛口の比喩で描き、虚飾と真実、表面と内面のズレを抉る。エスポシトらしい繊細な語彙選択や都市的イメージ、時にルンファルドの響きが、失恋の感情を過度に劇化せず冷ややかに照らすのが特徴。表層の眩しさに惑わされる心の弱さと、醒めた自己認識が同居し、タンゴ特有の諦念と誇りが同時に感じられる。

歴史的背景

制作背景は、ダンス主導の黄金期から鑑賞志向へ移る転換期のタンゴ。スタンポーネは洗練された和声とピアノの推進力でモダンな陰影を与え、歌の語りを支える。テンポは中庸〜やや遅めで、リズムの切れより言葉の運びを重視。オーケストラの色彩とヴォーカルの語り口が緊密に結びつき、都会的な冷たさと抒情が共存する。具体的な初演場所・年は情報不明。

有名な演奏・映画での使用

代表的録音には、スタンポーネ自身のオルケスタによる演奏がある。歌唱ではロベルト・ゴジェネチェやフリオ・ソーサが取り上げ、語り口の違いが解釈の幅を示した(各録音の年・レーベルは情報不明)。器楽版も多く、バンドネオン独奏やギター・デュオ編が親しまれる。映画・ドラマでの具体的な使用例は情報不明。

現代における評価と影響

現在もコンサートやタンゴ・フェス、歌手のリサイタルで定番曲として扱われ、配信プラットフォームでも広く聴かれる。虚飾を見抜く視線を歌うテキストは現代的な共感を呼び、発声やフレージングの教材としても価値が高い。ダンスのフロアでも、遅めのセクションに効果的に配置される。

まとめ

総じて「AFICHES」は、言葉と和声の緊密さ、冷ややかな諦観を帯びた抒情が魅力の名曲である。初出年など一部情報は不明だが、スタンポーネのモダンな語法とエスポシトの都会詩が結晶した一曲として、歌唱・器楽ともに多彩な解釈を生み続けている。名演を聴き比べ、歌詞の比喩と伴奏の陰影の響き合いを味わいたい。