BAHIA BLANCA
- 作曲: DI SARLI CARLOS
#タンゴ

BAHIA BLANCA - 楽譜サンプル
BAHIA BLANCA|楽曲の特徴と歴史
基本情報
BAHIA BLANCAは、アルゼンチンの作曲家カルロス・ディ・サルリによる器楽タンゴ。題名は彼の出生地バイア・ブランカ市に由来し、故郷へのオマージュとして知られる。初出年や初録音の日付は情報不明だが、ディ・サルリ楽団のレパートリー屈指の人気曲として、世界のサロンで親しまれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
ディ・サルリ特有の気品あるレガートと、歌う弦楽セクションが核。ピアノは和声を磨き上げつつ要所で繊細に装飾し、中庸テンポと低音のマルカートが歩きやすい推進力を生む。広いフレーズと丁寧なダイナミクス設計により、聴感は端正で官能的。ミュージカリティ練習にも好適だ。
歴史的背景
制作時期は情報不明だが、タンゴ黄金期後半の美学を体現する一曲。ダリエンソの硬質なドライブやプグリエーセの劇性とは異なり、ディ・サルリはエレガンスと抒情を柱に独自の学校を築いた。故郷の名を冠する本作は、都市の気風と郷愁を旋律と音色で静かに描く。
有名な演奏・録音
最も広く聴かれるのは、カルロス・ディ・サルリ楽団による録音で、穏やかで品位あるアンサンブルが決定版として評価される。以後、現代オルケスタや小編成でも頻繁に演奏され、ミロンガのDJ選曲でも定番。再発盤やベスト集への収録も多い。映像作品での使用は情報不明。
現代における評価と影響
現在も世界のダンスフロアで支持され、初級者から上級者まで幅広く踊られている。明瞭なフレーズ感と安定した歩行感が、ホールドやコネクションの練習に適しているためだ。演奏家にとっても、音量ではなく音色と間合いで語るタンゴ美学を学べる重要レパートリーである。
まとめ
技巧を誇示せず、旋律と響きの品格で魅せる器楽タンゴの典型。故郷への静かな敬意と、節度ある表現が結晶した本作は、鑑賞にもダンスにも適する永続的スタンダードとして、これからも愛され続けるだろう。