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LA CACHILA

  • 作曲: AROLAS EDUARDO
#タンゴ
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LA CACHILA - 楽譜サンプル

LA CACHILA|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「LA CACHILA」は、エドゥアルド・アロラス作曲のタンゴ(器楽曲)。標準的なオルケスタ・ティピカ編成(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、コントラバス)で演奏されることが多い。発表年は資料により異なり情報不明。歌詞付き版は一般的ではなく、作詞者は情報不明。タンゴのレパートリーにおいては、実演・録音ともに取り上げられる機会が多く、ダンス・フロアでも定番として親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

陰影のある旋律線と、タンゴ特有のマルカートやシンコペ、アラスレ(引きずり)を活かした推進力が特徴。短調的情感と明確なフレーズ構造が踊りやすさを支え、A–B–A型の反復やコーダ処理で緊張と解放を作る。舞踊向けの解釈では堅牢なビートとメリハリあるアクセントが重視され、鑑賞主体の演奏ではダイナミクスの幅や微細なアゴーギク、ルバートが映える。各声部の対話性も聴きどころ。

歴史的背景

アロラス(1892–1924)は初期タンゴを革新した作曲家・バンドネオン奏者で、和声と対位法の拡張で知られる。1910〜20年代に整備されたオルケスタ・ティピカの語法を先導し、ダンスホールから劇場、さらには海外へと広がる潮流の中で、本曲もレパートリーとして浸透した。タンゴが国際的関心を集めた時期にあたり、都市文化のモダニティと庶民的情感の両面を映す作品として受容が進む。初演地・初録音の詳細は情報不明。

有名な演奏・録音

歴史的録音から現代のハイファイ録音まで、多数の演奏が存在。テンポ設定やアクセントの置き方、フレージングの間合いに各楽団の個性が表れる。ソロ・バンドネオン、ピアノ独奏、ギター重奏、室内楽編成などの編曲版も普及し、練習用および舞台用譜面が広く流通している。映画やドラマでの明確な使用例は情報不明だが、ミロンガ(ダンスイベント)での定番曲として頻繁に選曲される点は特筆に値する。

現代における評価と影響

作曲から一世紀近くを経ても、踊りと鑑賞の両面で定着した名曲として評価は高い。レッスン現場ではフレージングやシンコペーションの学習教材として活用され、ステージでは表現力とアンサンブル精度を競うレパートリーとして選ばれることが多い。主要配信プラットフォームのタンゴ系プレイリストにもたびたび登場し、世代や地域を超えて聴かれ続ける存在となっている。

まとめ

「LA CACHILA」は、タンゴの語法を凝縮した器楽名作。骨太のリズムと歌心ある旋律、柔軟な編曲適性により、時代や編成を超えて演奏され続ける。成立年代や初演情報に不明点は残るものの、アロラスの創造性を端的に伝える代表曲として、ダンス・フロアからコンサートホールまで今後も受け継がれていくだろう。