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The Long And Winding Road
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

The Long And Winding Road - 楽譜サンプル
The Long And Winding Road|歌詞の意味と歴史
基本情報
ビートルズの「The Long And Winding Road」は、クレジット上レノン=マッカートニー作。1969年の“Get Back/Let It Be”セッションで録音され、1970年にアルバム『Let It Be』に収録。米国では同年シングルとして発表され、ビルボードHot 100で首位を獲得し、バンド最後の全米1位となった。アルバム音源はフィル・スペクターが弦楽・合唱をオーバーダブした版として広く知られる。
歌詞のテーマと意味
タイトルに示される“長く曲がりくねった道”は、帰還や救済への希求を象徴するモチーフとして語られる。扉へ戻る道を探し続ける語り手の内面が、静かな決意とともに描かれ、別れ・未練・再生の感情が交錯。具体的モデルは公表されておらず情報不明だが、普遍的な人間の葛藤と希望を映すバラードとして受け止められている。歌詞の全文引用は避けつつも、反復と簡潔な語彙が印象を強めている点が特徴だ。
歴史的背景
原点回帰を掲げた“Get Back”構想の中で生まれた本曲だが、制作はバンド末期の緊張に彩られた。1969年の基本トラック後、1970年にプロデューサーのフィル・スペクターがストリングスと合唱を追加。ポール・マッカートニーはこのアレンジに異議を唱えたことが公に記録されており、作品解釈をめぐる論争の象徴となった。2003年にはオーバーダブを排した『Let It Be… Naked』版が公式リリースされ、楽曲の別相を提示している。
有名な演奏・映画での使用
ライヴではマッカートニーがピアノを中心に歌い上げる形が定番で、シンプルな編成からオーケストラ付きまで多彩に演奏される。カバーは数多く、レイ・チャールズほか多くのアーティストが録音している。映像では映画『Let It Be』(1970)やドキュメンタリー・シリーズ『The Beatles: Get Back』(2021)に制作風景が収められ、当時のセッションの空気を追体験できる。
現代における評価と影響
穏やかなメロディと普遍的な主題により、ポップ・バラードの古典としての評価は揺るがない。一方でスペクター版とストリップト版の対立する美学は、編曲が曲想に与える影響を考える格好の教材となっている。ストリーミング時代でも高い再生を保ち、式典や映像作品での引用も多い。シンガーや鍵盤奏者にとって、表現力を磨く定番レパートリーとして位置づけられる。
まとめ
ビートルズ終章を象徴する本曲は、私的な内省を普遍の物語へ昇華した名作である。異なるミックスや多彩なカバーを聴き比べれば、編曲と解釈の関係がより鮮明に見えてくる。名演の系譜と制作背景を踏まえて聴くことで、“道”の物語は一層深い感動をもって迫ってくる。