CHIQUILIN DE BACHIN
- 作曲: PIAZZOLLA ASTOR PANTALEON
#タンゴ

CHIQUILIN DE BACHIN - 楽譜サンプル
CHIQUILIN DE BACHIN|歌詞の意味と歴史
基本情報
Astor Piazzolla作曲、Horacio Ferrer作詞のタンゴ歌曲。題名の“Bachín”はブエノスアイレスの実在レストランにちなむ。原典の初演年は情報不明だが、1960年代後半に生まれた歌ものとして広く認知される。編成は歌+ピアソラ五重奏が典型。
歌詞のテーマと意味
夜のレストランでバラを売る幼い少年を見つめる語り手が、貧困と無垢、都市の孤独を詩的に映す。切ない旋律は子守歌の温度を保ちつつ、社会の痛点を静かに示す。告発よりも共感と尊厳を促す寓話性が核。
歴史的背景
1960年代、ピアソラはヌエボ・タンゴを推進し、詩人ホラシオ・フェレールと歌曲を多産。本作もその線上にあり、発想源として店「Bachín」の花売りの少年がしばしば挙げられる。伝統語法と現代和声の融合が特色。
有名な演奏・映画での使用
代表的な歌唱としてアメリータ・バルタルの初期録音が知られ、ピアソラのクインテット伴奏版も重要。以後、多くの歌手・アンサンブルが取り上げ、テンポや間合いの解釈に個性が現れる。映画での使用は情報不明。
現代における評価と影響
今日もコンサートや録音で定番曲。言葉の呼吸とリズムの“溜め”を要するため、歌手・伴奏者双方の力量が試される。クラシックやジャズ系の奏者によるクロスオーバー演奏、室内楽・合唱編曲も盛んで影響は広い。
まとめ
都市の片隅の小さな視線から人間の尊厳を問う、この曲はピアソラ歌曲の核心を示す一例である。詩を生かす抑制と、静と動のコントラストを丁寧に描くことが、最良の解釈へとつながる。