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COMME IL FAUT

  • 作曲: AROLAS EDUARDO
#タンゴ
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COMME IL FAUT - 楽譜サンプル

COMME IL FAUT|楽曲の特徴と歴史

基本情報

COMME IL FAUTは、アルゼンチンの作曲家・バンドネオン奏者エドゥアルド・アローラスによる器楽タンゴ。曲名はフランス語で「然るべく」「礼儀正しく」の意。初出年や初録音の正確なデータは情報不明だが、20世紀初頭のレパートリーとして広く知られる。原則として器楽曲で、歌詞の定着した版は情報不明。オルケスタ・ティピカ(バンドネオン、バイオリン、ピアノ、コントラバス)での演奏を想定した定番曲である。

音楽的特徴と演奏スタイル

A–B構成を基調に、鋭いマルカートとシンコペーションが推進力を生む。短調を軸にしつつ、経過句や反復による明暗の転換でドラマを描くのが特徴。バンドネオンの切れ味あるアタックと、バイオリンのレガートが織りなす対旋律、ピアノのコンピングと低弦の堅牢なボルドンが躍動感を支える。演奏解釈では、フレージングのタメとアクセント設計、そしてダンサーが踏みやすいパルスの保持が要点となる。

歴史的背景

アローラスは初期タンゴを革新した重要人物の一人で、「バンドネオンの虎」と称された。19世紀末から20世紀初頭にかけてタンゴは港町ブエノスアイレスで育ち、やがてパリでも流行。フランス語の題名をもつ本作は、当時の国際的な憧憬と交流を映す象徴的な存在とされる。出版年は情報不明だが、初期タンゴの語法を端的に体現する作品として位置づけられている。

有名な演奏・録音

本作は多くのタンゴ楽団によって録音され、78回転盤からモダン録音まで幅広く流通している。具体的な初演者・初録音やレーベル情報は情報不明だが、編曲によりテンポやフレージングが大きく異なるため、複数の録音を聴き比べる価値が高い。バンドネオンのリードを前面に出す版、弦のコントラメロディを厚くする版、独奏ピアノや小編成による室内楽的バージョンなど多彩な解釈が存在する。

現代における評価と影響

今日でもミロンガ(タンゴのダンスイベント)やコンサートの定番曲として親しまれ、古典タンゴの美学と躍動感を学ぶための優れた題材とみなされる。研究書や解説記事でも初期タンゴの代表例として取り上げられ、作曲・編曲・演奏法の参照点となっている。ストリーミングや復刻盤の充実により聴取環境が整い、世代を超えた再評価が続いている。

まとめ

COMME IL FAUTは、洗練された旋律と鋭いリズム感で初期タンゴの魅力を凝縮した器楽名曲である。成立年や初録音、歌詞の有無など一部は情報不明ながら、多様な編曲と演奏を通じて受け継がれ、ダンスと鑑賞の双方で生き続けている。その普遍性こそが、アローラス作品の価値を裏打ちしている。