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Ticket To Ride

  • 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES
#ビートルズ#洋楽ポップス
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Ticket To Ride - 楽譜サンプル

Ticket To Ride|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Ticket To Ride」は、ジョン・レノンとポール・マッカートニーによる作品で、ビートルズが1965年に発表したシングル。プロデュースはジョージ・マーティン、EMIスタジオ(現アビー・ロード・スタジオ)で録音された。英国と米国の両チャートで首位を獲得し、後にアルバム『Help!(ヘルプ!)』にも収録。B面は「Yes It Is」。12弦ギターの響きと重たいドラム・パターン、コーダでテンポを落とす構成など、バンド中期のサウンド進化を示す代表曲として知られる。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、彼女が“乗車券”を手にして去っていく状況を描き、語り手は未練と諦念の間で揺れる。独立して出ていく女性像と、置いていかれる側の心情が対比され、感情の複雑さが淡々とした口調で表現されるのが特徴。象徴としての“チケット”は、移動や別離、自由の獲得を指すが、具体的な地名・語源等の解釈は情報不明。直接的な嘆きに寄らず、反復とコーラス・ワークで感情の高まりを描く点が、普遍的な共感を生んでいる。

歴史的背景

1965年は、ビートルズが初期のビート・ポップから、より重心の低いサウンドと巧緻なアレンジへ移行した時期。本作ではリッケンバッカー12弦のジャングリーな響き、シンコペーションを伴うドラム、下降するギター・リフが組み合わさり、当時のポップ・ロックに新鮮な質感をもたらした。ジョージ・マーティンのプロデュースの下、ボーカルのダブルトラッキングや立体的なコーラス処理が施され、シングルとしての即効性とアルバム曲的な作り込みを両立させている。

有名な演奏・映画での使用

本曲は映画『ヘルプ!』(1965年)に登場し、映像とともに世界的な認知を高めた。ビートルズの1965年のコンサートでも定番曲として演奏され、ライブ・アクトの核を担った。カバーは多数存在し、カーペンターズはデビュー期に取り上げ独自の解釈でヒットさせている。テレビ番組やドキュメンタリーでも使用例があるが、網羅的な使用リストは情報不明。いずれも原曲の旋律強度とハーモニーの汎用性が再評価の土台となっている。

現代における評価と影響

「Ticket To Ride」は、ポップ・ロックにおけるアレンジ志向の転換点としてしばしば評価される。重厚なビートと煌びやかな12弦の組み合わせ、減速するコーダという構成的工夫は、後続のロック/ジャングル・ポップ系サウンドに影響を与えたとされる。各種名曲ランキングでも取り上げられる機会が多く、シングルヒットと芸術性の両立例として教材的に引用されることが多い。今日でもプレイリストの常連で、世代を超えて聴かれている。

まとめ

離別を静かに見つめる歌詞、印象的なリフとコーラス、構造的な工夫が結晶した「Ticket To Ride」は、ビートルズ中期のエポックであり、ポップ・ロックの表現領域を広げた楽曲である。映画『ヘルプ!』での可視化、数多のカバーと相まって、発表から半世紀以上を経ても鮮度を保ち続ける。その普遍性は、感情とサウンドデザインの精妙な均衡にあると言える。