MI BUENOS AIRES QUERIDO
- 作曲: GARDEL CARLOS

MI BUENOS AIRES QUERIDO - 楽譜サンプル
MI BUENOS AIRES QUERIDO |歌詞の意味と歴史
基本情報
カルロス・ガルデルが作曲し、アルフレド・レ・ペラが作詞したタンゴ・カンシオン。一般には1934年に初公開され、スペイン語で歌われる。ガルデル自身の歌唱が決定版として知られ、曲名は「わが愛しのブエノスアイレス」の意。端正なメロディと哀愁の旋律線が特徴で、タンゴ入門にも頻繁に挙げられる代表曲である。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、遠く離れて暮らす語り手が故郷ブエノスアイレスへの尽きない愛情と帰還への希求を語る内容。都会の喧騒よりも、懐かしい街並みや人々に抱かれる安らぎを理想化し、再会が悲しみを癒すという希望を強く示す。移民や旅芸人の感情とも重なる普遍的な郷愁が核となっている。
歴史的背景
1930年代初頭、タンゴはリオプラタ圏から世界へ拡大。ガルデルとレ・ペラは映画と音盤を通じてタンゴを国際化した黄金コンビで、本作もその好例。ガルデルはニューヨーク録音など精力的に活動したが、1935年の飛行機事故で急逝。本作は彼の芸術的到達点を示す一曲として、戦前のタンゴ・シーンを象徴する。
有名な演奏・映画での使用
初期の決定的な用例は、1934年公開の映画『Cuesta abajo(転げ落ちて)』でのガルデルの歌唱。以後、スペイン語圏内外の多くの歌手やオルケスタが取り上げ、舞台ショーやリサイタルで定番曲として定着した。編成はギター伴奏からオルケスタ・ティピカ、シンフォニックまで幅広く発展。
現代における評価と影響
本作はブエノスアイレスを象徴する歌としてしばしば言及され、街のアイデンティティとタンゴ文化を結びつける役割を担う。観光公演やダンス・ショーのクライマックスで用いられることも多く、世代や国を超えて親しまれる。教科書的レパートリーとして、歌手の表現力を測る指標にもなっている。
まとめ
郷愁、帰郷、都市への愛という普遍のテーマを、簡潔で覚えやすい旋律に凝縮した名曲。初演からおよそ一世紀を経ても色褪せず、ガルデルの歌とともにタンゴの入口であり続ける。聴く順序に迷うなら、まずガルデル盤から始めるのが定石だ。