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MILONGA SENTIMENTAL

  • 作曲: PIANA SEBASTIAN
#タンゴ
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MILONGA SENTIMENTAL - 楽譜サンプル

MILONGA SENTIMENTAL |歌詞の意味と歴史

基本情報

「Milonga sentimental」はアルゼンチンの作曲家セバスティアン・ピアナの作品で、作詞はオメロ・マンシ。一般に1932年の発表として知られ、スペイン語歌唱のミロンガ(タンゴ系)に分類される。拍子は軽快な2/4系で、ハバネラ由来のシンコペーションと歩む低音が要。ギターやバンドネオンを擁するオルケスタ・ティピカ、あるいは歌とギター伴奏でも広く演奏されてきた。

歌詞のテーマと意味

タイトルが示す通り“感傷的なミロンガ”。歌詞は、過ぎ去った恋や街角の記憶を内省的に語り、失われた時間への郷愁とほろ苦さを描く。マンシ特有の都市的イメージと言葉運びが、哀感と品位を両立させ、聴き手に静かな共感を呼び起こす。具体的な引用は避けるが、核心は「別れ」と「記憶」の交差にあり、独白的な語り口が印象を深める。

歴史的背景

1930年代初頭のブエノスアイレスでは、タンゴの黄金期への助走と並び、ミロンガの都市的再生が進んでいた。ピアナとマンシは土着色の強い舞踊音楽に詩情を与え、「都市のミロンガ(milonga ciudadana)」という語りの形式を確立。本作はその代表格とされ、以後の作曲家・詩人の指標になった。初演者や初録音の詳細は情報不明だが、文芸性を持つ歌曲としての地位を築いた点が重要である。

有名な演奏・映画での使用

本作は多くのカンタンテ(歌手)とオルケスタ・ティピカに取り上げられ、弾き語りから大編成まで解釈の幅が広い。名演や初出音源の具体的列挙は情報不明だが、タンゴ歌唱の教材としてもしばしば扱われ、発声・フレージング・言葉運びの研究対象になっている。映画での使用についても情報不明。音源は配信や復刻盤で容易に聴取できる。

現代における評価と影響

現在もブエノスアイレスのミロンガ(ダンスイベント)やコンサートで定番曲として愛奏される。推進力ある2/4と語りの余白が共存するため、テンポや編成に応じた多彩な解釈が可能で、歌手の表現力を測る“リトマス試験紙”的存在。ミロンガを叙情的歌曲として確立した歴史的意義は大きく、教育・研究の文脈でも頻繁に参照される。

まとめ

「Milonga sentimental」は、ミロンガを都会的歌曲へと押し上げた画期的作品。簡潔な形式に深い感情を宿し、時代を越えて歌い継がれている。出自や初演の細部に情報不明な点は残るものの、ピアナとマンシの協働が生んだ普遍性は、今なお聴き手と演奏家を惹きつけ、タンゴ系レパートリーの核として輝き続けている。