Let It Be
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Let It Be - 楽譜サンプル
Let It Be|歌詞の意味と歴史
基本情報
ビートルズの代表曲「Let It Be」は、LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMESの共作。1970年にAppleからシングル発売され米国Billboard Hot 100で1位、英国は2位。リードはポール・マッカートニー。ピアノ主体の編成に、ジョージ・ハリスンのギター、リンゴ・スターのドラム、ビリー・プレストンのオルガンが加わる。シングル版はジョージ・マーティン、アルバム版はフィル・スペクターが手掛け、ミックスやギターソロが異なる。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す“あるがままに受け入れる”姿勢を軸に、混乱の中で心を鎮め希望を見いだすメッセージが核。ポールは、早逝した母メアリーが夢に現れた体験が着想の一つと語っており、私的慰めが普遍的祈りへと昇華した。宗教語彙を含みつつ説教的でなく、柔らかなピアノとコーラスが受容と癒やしを導く。
歴史的背景
制作は1969年の緊張が高まる時期。トゥイッケナム撮影所での試行からアップル本社地下スタジオへ移り、アレンジを重ねて完成した。映画『Let It Be』(1970)や『The Beatles: Get Back』(2021)が過程を可視化し、対立だけでなく協働もあったと示す。アルバム版ではスペクターがストリングスやコーラスを加え、荘厳さを増した。
有名な演奏・映画での使用
ポールはコンサートで本曲をたびたび歌い、追悼やチャリティの場でも選曲されてきた。1985年のライヴエイドではフィナーレ近くを飾る象徴的瞬間に。映画では『Let It Be』(1970)に記録が残るほか、ビートルズ楽曲で構成した『Across the Universe』(2007)でもカバーが用いられた。
現代における評価と影響
本曲はポップ・ロックとゴスペルの語法が交差する名バラードとして、各種“名曲”リストの常連。シンプルなコードと記憶性の高い旋律は、合唱や室内楽編曲でも映える。多くのアーティストが多様なスタイルでカバーし、大規模なシンガロングから静かな祈りの場まで、共同体の感情を束ねる楽曲として定着した。
まとめ
個人的体験に根差した言葉を普遍の慰めへと昇華し、激動期の記録という歴史性も備えた「Let It Be」。シンプルなピアノ、対照的な二種の公式バージョン、数多のカバーが重なり、今も新しい意味を生む。入門者にも長年のファンにも、繰り返し聴く価値がある。