NOCTURNA
- 作曲: PLAZA JULIAN

NOCTURNA - 楽譜サンプル
NOCTURNA |楽曲の特徴と歴史
基本情報
NOCTURNA は、アルゼンチンの作曲家/バンドネオン奏者ジュリアン・プラサ(Julián Plaza)による器楽タンゴ。作曲年は情報不明。歌詞は存在せず、オルケスタ・ティピカ(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、コントラバス中心)やセクステート編成で演奏されることが多い。夜想曲を想起させるタイトル通り、しっとりとした情感と緊張感のコントラストが聴きどころで、コンサートやダンスの伴奏でも定番曲として親しまれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
冒頭から低弦とピアノが沈み込むようなマルカートで脈動を作り、バンドネオンとヴァイオリンが旋律を受け渡す。プラサ作品の特徴である鋭いアクセント(アセンティ)、引きずる装飾(アラストレ)、ダイナミクスの大きな起伏が連続し、暗がりの中に一瞬ひらめく光のようなフレーズが現れる。中間部ではカウンターメロディと対位法的書法が織り込まれ、合奏とソロの緊密な駆け引きが生まれる。テンポは中庸で、重心の低いビートを基調としつつ、ルバートやアゴーギクで陰影を加える演奏が好まれる。
歴史的背景
ジュリアン・プラサ(1928–2003)は、オスバルド・プグリエーセ楽団などで活躍し、編曲家としても近代的なタンゴ表現を切り拓いた中心人物の一人。NOCTURNA は、その作風を代表する楽曲として広く演奏されてきた。作曲・初演の詳細は情報不明だが、黄金期以降のアルゼンチン・タンゴにおいて、劇的な合奏表現と洗練された和声感を結び付けるレパートリーとして定着している。
有名な演奏・録音
オスバルド・プグリエーセ楽団による演奏は重厚な低音と鋭い切れ味で名高く、セクステート・タンゴ(Sexteto Tango)も本作を看板レパートリーとして録音している。ほかにも多くの現代タンゴ楽団や室内編成が取り上げ、ライヴ/スタジオ双方で多彩な解釈が残されている。具体的な収録年やアルバム名は情報不明。
現代における評価と影響
NOCTURNA は、クラシカルな技巧とタンゴ特有の躍動を両立させる教材的価値も高く、音楽学校やワークショップのレパートリーでも扱われることがある。編成を拡大したオーケストラ版から、ピアノ・ソロやデュオへの編曲まで幅広く流通し、ステージ・プログラムの緩急をつける“夜想的”な小品として重宝される。楽曲の構造的明瞭さは、即興的ニュアンスを活かす演奏解釈にも適している。
まとめ
ジュリアン・プラサ作曲の NOCTURNA は、歌詞を持たない器楽タンゴの名品。陰影に富む旋律とダイナミクスの妙で、今日まで多くの演奏家に愛奏される。作曲年など一部情報は不明だが、近代タンゴの魅力を知るうえで外せない一曲である。