あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

OJOS NEGROS (タンゴ)黒い瞳

  • 作曲: GRECO VICENTE
#タンゴ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

OJOS NEGROS (タンゴ)黒い瞳 - 楽譜サンプル

OJOS NEGROS (タンゴ)黒い瞳|楽曲の特徴と歴史

基本情報

スペイン語で「黒い瞳」を意味する題名をもつ本作は、アルゼンチンの作曲家ヴィセンテ・グレコによるタンゴ作品。一般には器楽曲として知られ、歌詞付きの決定稿は情報不明。初出年や初演の詳細も情報不明だが、古典タンゴの文脈で受け継がれてきた楽曲として位置づけられる。タイトルが喚起する叙情性と、踊り手に配慮した構成の明快さが共存する点が魅力である。

音楽的特徴と演奏スタイル

リズムはタンゴ特有のマルカートとシンコパを基調に、低音の堅固な歩行感と旋律のレガートが対照を成す。A–B型の明瞭な2部構成が想定され、反復と小結尾で踊りやすいフレーズを組む。編成はバンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、コントラバスを核とするオルケスタ・ティピカを基本に、ギターを加える小編成でも演奏される。アラストレや装飾音は控えめに、歌心を強調する解釈が要点となる。

歴史的背景

作者のヴィセンテ・グレコ(1888–1924)は、タンゴ黎明期“グアルディア・ビエハ”を代表する楽長で、サロン向け編成での演奏様式を整えた立役者。本作の成立時期は情報不明ながら、そうした時代の美学—明快な拍節感、都会的な哀愁、端正な旋律処理—を色濃く映すと考えられる。カフェや舞踏会のレパートリーとして普及した系譜に属する。

有名な演奏・録音

歴史的に多くのタンゴ楽団がレパートリーとして取り上げてきたとされるが、決定的な代表録音の特定は情報不明。鑑賞の際は、初期スタイルの小編成版と、後年の厚みある編曲版を聴き比べると、伴奏のアクセント配置や内声の動きがどのようにダンサーのステップ感に影響するかが見えてくる。音質やテンポ設計の違いも比較ポイントとなる。

現代における評価と影響

現在もダンス現場やコンサートで折に触れて演奏され、教育的なレパートリーとしても活用される。旋律線が明快で、基礎的なマルカートの運用やフレージング練習に適しているため、学習者のアンサンブル教材として価値が高い。編曲の自由度も大きく、デュオから小オルケスタまで幅広い編成に適応するのが強みだ。

まとめ

『OJOS NEGROS(黒い瞳)』は、情報不明な点を残しつつも、古典タンゴの美点を凝縮した一篇である。堅実なリズム基盤と抒情的な旋律、踊りやすい構成により、時代を超えて支持されてきた。ヴィセンテ・グレコの作風を知る入口としても適しており、演奏・鑑賞の双方で長く親しまれるだろう。