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Bag's Groove

  • 作曲: JACKSON MILT
#スタンダードジャズ
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Bag's Groove - 楽譜サンプル

Bag's Groove|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Bag's Groove」は、ヴィブラフォン奏者ミルト・ジャクソン(愛称“Bags”)作曲のインストゥルメンタル。12小節ブルース形式で、調性はFが用いられることが多い。セッションでの親和性が高く、シンプルなリフによるヘッドとアドリブの自由度が両立するのが魅力。初出年は情報不明だが、1950年代半ばにはジャズ・スタンダードとして広く定着した。

音楽的特徴と演奏スタイル

中〜ミディアムアップのスウィングが基本。ヘッドはブルーノートを強調したコール&レスポンス型リフで、ユニゾンやオクターブでの提示が定番。ソロはブルース・スケールとコード・トーンの対比、モチーフ反復、裏拍のアクセントが肝要。ウォーキング・ベースとライド・シンバルの推進力、コンピングの間合いがグルーヴの鍵となる。ヴィブラフォン、ピアノ、ギターなど異なる編成にもよく馴染み、エンディングはタグ反復やフェルマータで余韻を作る例が多い。

歴史的背景

1940年代後半〜50年代に台頭したモダン・ジャズの流れの中で、ジャクソンはモダン・ジャズ・カルテットの中核として活動し、洗練とブルース感覚を併せ持つ作風を確立。「Bag's Groove」はその代表例で、ハードバップ隆盛期のクラブ・シーンで頻繁に演奏され、即興の器として機能した。標準的なブルース進行を土台にしつつ、奏者の音色とタイム感で表情が大きく変わる点が評価を集めた。

有名な演奏・録音

最も知られる録音の一つが、1954年のマイルス・デイヴィス・オールスターズによるプレスティッジ録音。セロニアス・モンク、ソニー・ロリンズ、ミルト・ジャクソン、パーシー・ヒース、ケニー・クラークが参加し、長尺テイクで各奏者の個性が刻まれた。タイトルを冠したマイルスのアルバム「Bags' Groove」でも基準演奏として参照される。加えて、モダン・ジャズ・カルテットによるスタジオ/ライヴ録音は、アンサンブルの精度とサウンド・バランスの模範として広く認知されている。

現代における評価と影響

現在もジャム・セッションの定番曲として教育現場やライブで広く扱われ、主要な曲集に収録されている。シンプルな素材ながら、間合い、スウィング・フィール、ブルースの語彙、リズム・セクションとの対話など、ジャズの核心を学べる教材として重宝される。録音や配信でも新世代奏者の解釈が継続的に発表され、スタイルを超えて更新され続けている。

まとめ

ブルースの普遍性とモダン・ジャズの洗練が交差する「Bag's Groove」は、編成や世代を超えて演奏され続ける重要レパートリーである。ヘッドの簡潔さとアドリブの自由度が共存し、入門者から上級者まで学びの多い一曲として、今後も標準曲集の中心に位置し続けるだろう。