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POR UNA CABEZA

  • 作曲: GARDEL CARLOS
#タンゴ
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POR UNA CABEZA - 楽譜サンプル

POR UNA CABEZA|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Por una cabeza」はカルロス・ガルデル作曲、アルフレド・レ・ペラ作詞の1935年発表のタンゴ。原語はスペイン語で、題名は競馬の勝敗を示す“首の差”の意。ガルデル自身の録音で広まり、後年は器楽版でも定番化した。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、競馬と恋愛への執着を重ね合わせて描く。首の差で一喜一憂するスリルは、危うい恋に再び引き寄せられる心の弱さの比喩だ。もう賭けない、もう恋に落ちないと誓いながらも、香りや笑顔ひとつで誓いを破る陶酔と未練が語られる。欲望と依存の循環を洒脱に表現する点が魅力である。

歴史的背景

1930年代のブエノスアイレスはタンゴ黄金期で、ガルデルとレ・ペラは映画とレコードを通じ国際的人気を獲得した。本作はその晩年に生まれ、両名が1935年の航空機事故で急逝したこともあり、象徴的名曲として記憶された。映画『Tango Bar』(1935年)に関連する楽曲として知られる。

有名な演奏・映画での使用

本曲は歌唱版のみならず、バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノなどの器楽版でも頻繁に演奏される。映画では『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992)の社交ダンス・シーン、『トゥルー・ライズ』(1994)のダンスで印象的に用いられ、世界的再評価の契機となった。

現代における評価と影響

今日「Por una cabeza」はタンゴを象徴するスタンダードとして、ダンスホールからコンサートまで幅広く親しまれる。哀愁と官能を併せ持つ旋律は覚えやすく、テンポの揺れやルバート、装飾の解釈で演者の個性が際立つ。教育やメディアでの紹介も多い。

まとめ

ギャンブルと恋の比喩で人の弱さと魅了の力を描いた本作は、ガルデルの普遍的名曲。歌唱・器楽双方に名演が多く、映画での印象的な使用も相まって世代を超えて聴かれ続ける。