QUEJAS DE BANDONEÓN
- 作曲: FILIBERTO JUAN DE DIOS

QUEJAS DE BANDONEÓN - 楽譜サンプル
QUEJAS DE BANDONEÓN |楽曲の特徴と歴史
基本情報
QUEJAS DE BANDONEÓN は、アルゼンチンの作曲家フアン・デ・ディオス・フィリベルトによる器楽タンゴ。タイトルはスペイン語表記で、制作年は情報不明。オルケスタ・ティピカ編成(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、コントラバス)で広く演奏され、単独のバンドネオン独奏や小編成でも取り上げられる定番曲とされる。
音楽的特徴と演奏スタイル
陰影の濃い旋律線と、歌うようなフレージングが核。弱起やアラスレ(arrastre)、マルカート・エン・クアトロの推進力を基盤に、バンドネオンが主旋律を担い、弦が対旋律で絡む。テンポは堅固なコンパスを軸に、ソロ部分ではルバートを許容し、繊細なクレシェンドと急峻なアクセントでドラマを描く。終結部での堂々たるカデンツァ風処理も聴きどころ。
歴史的背景
タンゴがブエノスアイレスのサロンから世界へ広がった20世紀前半、フィリベルトは民衆的旋律感と都市的洗練を架橋した作曲家として評価を確立。本作もバンドネオンという楽器の感情表現力を象徴するレパートリーとして親しまれてきた。初演や初録音の詳細は情報不明だが、黎明期から黄金期にかけてのスタイルの変遷を映す重要作である。
有名な演奏・録音
多くのタンゴ楽団やソリストが録音・演奏を重ね、伝統派から現代的解釈まで幅広いバリエーションが存在する。具体的な録音年や演奏家の網羅的データは情報不明だが、オルケスタ編成による重厚な版、バンドネオン独奏による親密な版、ギターやピアノとの室内楽的アレンジなど、多様な音響で親しまれている。
現代における評価と影響
教育現場やマスタークラスでも取り上げられ、バンドネオン奏者の基礎的・表現的レパートリーとして位置づけられることが多い。ダンス用の演奏のみならず、コンサート・ホールでも映える構成のため、編曲素材としての需要も高い。タンゴの語法(アクセント、装飾、運弓・運指)の学習教材としての価値も大きい。
まとめ
QUEJAS DE BANDONEÓN は、フィリベルトの作曲手腕とバンドネオンの魅力を凝縮した器楽タンゴの定番。確定的な成立年などは情報不明ながら、豊かな旋律と劇的なダイナミクスによって、世代や編成を超えて演奏され続けている。タンゴの表現語彙を学ぶうえで外せない一曲である。