LA TRAMPERA
- 作曲: TROILO ANIBAL CARMELO

LA TRAMPERA - 楽譜サンプル
LA TRAMPERA |楽曲の特徴と歴史
基本情報
LA TRAMPERA は、アニバル・トロイロ(Aníbal Carmelo Troilo)作曲の器楽曲で、アルゼンチン・タンゴの一形式ミロンガとして知られる。初出年、初演や初録音の詳細は情報不明だが、オルケスタ・ティピカの定番レパートリーとして長年演奏され、ダンスと鑑賞の双方で親しまれてきた。曲名は「策略家」「いたずら好き」を想起させるスペイン語表現に由来する。
音楽的特徴と演奏スタイル
音楽面では、推進力ある2/4(または4/4)拍のミロンガ特有のビートに、軽快なシンコペーションと明確なアクセントが絡み合う。バンドネオンが歌心ある主旋律を導き、ヴァイオリン群との掛け合い、ピアノのマルカート、コントラバスの堅実な低音が層を成す。短いスラーや装飾音、間(ブレイク)の使い方が躍動感と洒脱さを生み、テンポを保ちながらも表情豊かなアーティキュレーションが求められる。
歴史的背景
作品の成立時期は情報不明だが、トロイロはタンゴ黄金期を代表する指揮者・バンドネオン奏者であり、放送・録音文化の隆盛とともに舞踊音楽を芸術的水準へと高めた中心人物の一人である。本曲もその文脈の中で広がり、都市ブエノスアイレスのダンスホールとコンサート双方へ浸透していった。
有名な演奏・録音
代表的録音としては、作曲者自身のオルケスタ・ティピカによる演奏が挙げられる。詳細な録音年やアルバム情報は情報不明だが、のちに小編成アンサンブル、ソロ・ピアノ、ギター、バンドネオン独奏など多様な編成に編曲され、ライブでもスタジオでも取り上げられてきたことが確認できる。
現代における評価と影響
今日では、ミロンガ(舞踏会)向けのレパートリーとしても、コンサートでの聴取用プログラムとしても扱われることがある。強い推進力と明快な旋律は、ダンサーにとってステップを組み立てやすく、演奏者にとってはリズムの切れと歌わせ方の両立を学べる教材的価値を持つと評価されることが多い。
まとめ
軽快なビートと歌心を併せ持つLA TRAMPERA は、トロイロの美学を凝縮したミロンガの佳品である。発表年や作詞者など一部情報は情報不明ながら、器楽曲としての完成度と演奏の楽しさが、世代と国境を越えて支持され続けている。