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TRENZAS

  • 作曲: PONTIER ARMANDO
#タンゴ
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TRENZAS - 楽譜サンプル

TRENZAS|歌詞の意味と歴史

基本情報

TRENZASは、アルゼンチンの作曲家アルマンド・ポンティエルによるタンゴ曲。作詞はHomero Expósito。初出年や初演者、出版社などの詳細は情報不明。歌詞はスペイン語で、タイトルの“Trenzas”は日本語で「三つ編み」を意味する。情緒的な旋律と詩的な語りが結びついたタンゴ歌謡(タンゴ・カンシオン)の代表的レパートリーとして広く親しまれている。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、過去の恋人を想起させる「三つ編み」を象徴として、失われた時間と残像をたどる回想の物語である。髪の手触りや香りといった感覚的記憶が、街の光景や夜の静けさと結びつき、青春の終焉、取り戻せない季節、諦念と温かな郷愁が交錯する。語り手は嘆きに沈むだけでなく、思い出を大切に抱く成熟へと向かう。直喩・隠喩の重ね方が巧みで、言葉の韻律が旋律の抑揚と密接に連動し、聴き手の内面に静かな余韻を残す。

歴史的背景

情報不明の点はあるが、バンドネオン奏者でもあるポンティエルは、歌唱を支える端正な和声運びと、息づくようなフレーズ設計で知られる。詩人Homero Expósitoは都会の情景と心理を洗練された言葉で結ぶ名手であり、本作でも都市の陰影と親密な感情世界を丁寧に描出する。ラジオ放送やダンスホール文化が発達した時代の語法を備え、舞踏性と鑑賞性が高いバランスが特徴となっている。

有名な演奏・映画での使用

初演者や最初期の録音といった固有名詞・年次は情報不明。ただし、本作は複数のアルゼンチンのオルケスタと歌手により繰り返し録音・上演され、タンゴ歌謡の定番曲として継承されている。映画やドラマでの使用についても具体的な作品名は情報不明だが、タンゴをテーマにしたコンサートや舞台で取り上げられる機会は少なくない。

現代における評価と影響

今日のミロンガ(タンゴ舞踏会)では、内省的でメローな曲想を活かし、比較的ゆったりしたテンポで踊られることが多い。歌手は言葉の分節、アチェント、ルバートを丁寧に扱い、バンドネオンは呼吸と溜めでフレーズを彫り込む解釈が重視される。音楽学校やワークショップでも、詩と旋律の呼応、伴奏のダイナミクス設計を学ぶ教材として取り上げられることがある。

まとめ

TRENZASは、身近なモチーフ「三つ編み」を通して、記憶・喪失・成熟という普遍的なテーマを描くタンゴである。詳細な成立情報は一部情報不明ながら、言葉と旋律の親密な結びつきが世代を超えて支持される理由となり、聴く楽しみと踊る喜びの双方を満たす名曲として受け継がれている。