Desperado
- 作曲: FREY GLENN LEWIS, HENLEY DON

Desperado - 楽譜サンプル
Desperado|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Desperado」は、アメリカのロック・バンド、イーグルスが1973年に発表した楽曲。作曲・作詞はグレン・フライとドン・ヘンリー。アルバム『Desperado』に収録されたピアノ主体のバラードで、カントリー由来の情緒とロックのスケール感を併せ持つ。バンドの代表曲として広く知られ、後年のベスト盤『Their Greatest Hits (1971–1975)』にも収められた。シングルとしての詳細な初出情報は情報不明だが、アルバム曲ながら知名度と評価は非常に高い。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“Desperado”(無頼漢・ならず者)は、荒野をさまよう孤独な人物像の比喩として描かれる。歌詞は、心を閉ざし続ける主人公に対し、殻を破り愛や人とのつながりを受け入れるよう静かに諭す内容だ。トランプの図像や道行きを想起させる語彙が散りばめられ、人生の選択や弱さの告白が詩的に表現される。説教ではなく共感に満ちた声色で語りかける構図が、普遍的な救いと和解の物語へと昇華。力強い高音のクライマックスと穏やかな終止が、孤独から解放へ向かう心理の弧を鮮明に描く。
歴史的背景
本曲を含むアルバム『Desperado』は、西部開拓時代の無法者を題材にした緩やかなコンセプト作で、当時のロサンゼルスで成熟したカントリー・ロックの文脈に位置づけられる。フォーク、カントリー、ロックの要素を横断しつつ、イーグルス特有のコーラス・ワークとソングライティングが確立していく過程を示す重要作でもある。ピアノとストリングスを中核に据えたアレンジは、土臭さと荘厳さの均衡を保ち、同時代のバラードとは一線を画すスケール感をもたらした。
有名な演奏・映画での使用
カバーは数多く、リンダ・ロンシュタット(1973年)が早期に取り上げたことで楽曲の評価が一段と高まった。カーペンターズもアルバムでカバーし、柔らかなハーモニーで別解釈を提示。イーグルス自身も再結成期のライブ作『Hell Freezes Over』(1994年)などで印象的な演奏を残し、コンサートのハイライトとして親しまれている。映画での特筆すべき公式使用については情報不明だが、テレビや舞台などでしばしば引用・再演されるバラードとして知名度は高い。
現代における評価と影響
「Desperado」は、イーグルスのバラードを語る上で欠かせない定番曲であり、世代やジャンルを超えてカバーされ続ける“スタンダード的存在”へと到達した。技巧を誇示するよりもメロディと語り口で心情に浸透する構成は、シンガー・ソングライター的作法の手本として今日も参照される。ベスト盤収録やライブ定着により、新旧リスナーの出会いの入口として機能し続け、ストリーミング時代でも継続的に再発見されている。
まとめ
「Desperado」は、孤独と和解をテーマにした普遍的な物語を、ピアノ・バラードという簡素で厳かな器に託した名曲である。1973年作ながら、時代を超えて人の心に寄り添う温度を失わず、カバーとライブで命を更新してきた。イーグルスの核にあるメロディ志向と合唱美、そして語りの力を最も端的に示す一曲と言えるだろう。