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Lullaby Of Birdland
- 作曲: SHEARING GEORGE, WEISS GEORGE DAVID

Lullaby Of Birdland - 楽譜サンプル
Lullaby Of Birdland|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1952年、ニューヨークの名門クラブ、バードランドのラジオ番組テーマとしてジョージ・シアリングが作曲。後にジョージ・デヴィッド・ワイスが歌詞を付与(B.Y. Foster名義で表記される場合あり)。器楽・歌唱の両面で親しまれ、現在もセッション定番のスタンダードである。恋や音楽の陶酔を軽やかに讃える歌詞内容だが、ここでは全歌詞の引用は行わない。
音楽的特徴と演奏スタイル
形式は32小節AABAが一般的。ミディアム〜アップのスウィングで演奏され、子守歌のように揺れる旋律線と、ビバップ語法に基づく滑らかなII–V進行が魅力で、アドリブの導入から発展まで組み立てやすい。ヴォーカルではスキャットやコーラス・ワーク、器楽ではトリオ、クインテット、ビッグバンドまで編成を問わず機能し、終結でのタグや転調アレンジも映える。
歴史的背景
タイトルの“Birdland”はチャーリー・“バード”・パーカーに敬意を込めて命名されたクラブ名。シアリングは自らのクインテット・サウンド(ロックド・ハンドの密度ある和声、ギターやヴィブラフォンとのユニゾン)を軸に、都会的で洗練された子守歌として書き上げた。放送テーマから誕生した楽曲が、瞬く間に広く演奏されるジャズ・スタンダードへと拡大した稀有な例である。
有名な演奏・録音
代表的な録音にはジョージ・シアリング・クインテットによる演奏がある。ヴォーカルではエラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、クリス・コナー、カーメン・マクレエらが名唱を残し、各歌手の解釈の違い(テンポ、フェイク、スキャットの扱い)も聴きどころ。多くの管楽器奏者による器楽版も定番で、アドリブ・フレーズの教材としてもしばしば参照される。
現代における評価と影響
本曲は教育現場やジャム・セッションで頻繁に取り上げられ、数多くの教本・譜面集に収録されている。明快な構成と歌心あるメロディにより、ビバップ以降の語法を体得するうえで適切な素材となる一方、リスナーにとっても覚えやすく口ずさみやすい。ストリーミング時代でも録音は更新され続け、世代や国境を越えて演奏されている。
まとめ
ラジオテーマとして生まれ、世界的スタンダードへ定着した「Lullaby Of Birdland」は、親しみやすさとモダンな洗練を兼備する名曲。歌でも器楽でも魅力を発揮し、編成や時代を超えて現在も第一線のレパートリーとして愛され続ける。初学者からベテランまで、幅広い奏者に開かれた一曲だ。