尾崎 紀世彦
また逢う日まで
- 作曲: 筒美 京平

また逢う日まで - 楽譜サンプル
また逢う日まで|歌詞の意味と歴史
基本情報
1971年に発表され、尾崎紀世彦が歌唱して大ヒットした楽曲。作曲は筒美京平、作詞は阿久悠。第13回日本レコード大賞を受賞し、当年を代表する歌謡曲となった。胸のすくようなボーカルとドラマ性の高いアレンジで、J-POP/歌謡史に残るスタンダードとして位置づけられている。
歌詞のテーマと意味
別れの瞬間を嘆きに沈めず、再会を信じて前を向くという態度が核にある。恋愛の終焉を描きつつ、相手への敬意と自己肯定を失わない言葉遣いが特徴で、喪失の痛みと希望がせめぎ合う感情の振幅を、タイトルのフレーズが象徴的に束ねる。個的体験を普遍的な「旅立ち」の物語へ昇華させた点が、長く支持される理由だ。
歴史的背景
1970年代初頭、日本の歌謡界は欧米ポップス/ソウルの影響を強く取り入れ始めた時期。筒美京平は流麗なメロディと都会的ハーモニーで時代を牽引し、阿久悠は簡潔で力強い語彙で新機軸を示した。大阪万博後の高揚感と社会の流動化のなか、「別れ」を前向きに捉える価値観が広がり、本曲はその気分を端的に結晶化した。
有名な演奏・映画での使用
決定的なテイクは尾崎紀世彦のオリジナル歌唱。厚みのあるストリングスとブラス、躍動するリズムセクションがボーカルの伸びを際立たせる。テレビ番組やライブで多くの歌手に取り上げられてきたが、特定の映画・ドラマ等での顕著な使用例は情報不明。商業広告での使用歴も情報不明。
現代における評価と影響
世代を超えて歌い継がれ、カラオケや音楽番組の名曲企画で常連。作曲面では大きなスケール感と明確なクライマックス設計が、その後の歌謡/J-POPバラードに与えた影響が指摘される。力強い発声を求めるボーカル曲の手本とされ、音域・ダイナミクスの練習曲としても選ばれることが多い。
まとめ
「また逢う日まで」は、別れを希望に転化するメッセージと劇的な音作りが結び付いた不朽の名曲。1971年の時代精神を体現しながら、現在も普遍的な感情に届く稀有なスタンダードである。