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Mona Lisa
- 作曲: LIVINGSTON JAY,EVANS RAYMOND B

Mona Lisa - 楽譜サンプル
Mona Lisa|歌詞の意味と歴史
基本情報
『Mona Lisa(モナ・リザ)』は、ジェイ・リヴィングストン(作曲)とレイ・エヴァンス(作詞)による1950年のポピュラー・ソング。パラマウント映画『キャプテン・ケリー』の主題歌として書かれ、同年のアカデミー賞主題歌賞を受賞。ナット・キング・コールの録音が決定版として知られ、艶やかなバリトンと穏やかな伴奏が楽曲の魅力を引き立てた。以来、世代を超えて歌い継がれるスタンダードとなっている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザ」に仮託し、微笑の奥にある孤独や真実の感情を問いかける内容。美しさは祝福か呪いか、微笑は愛か仮面か――と語りかける一人称の視点が、聴き手の想像を促す。叙情的なメロディとゆるやかなテンポは、言葉の余韻を丁寧に支え、ロマンティックでありながらほのかな哀感を漂わせる。具体的な物語を語り過ぎないため、解釈の幅が広い点も長く愛される理由だ。
歴史的背景
第二次大戦後のアメリカでは、映画とポピュラー音楽の結びつきが強く、本作もその文脈で誕生した。リヴィングストン&エヴァンスはハリウッドを代表するソングライターデュオで、『Buttons and Bows』『Que Sera, Sera』などでも知られる。『Mona Lisa』は映画公開と放送媒体の普及に支えられ、広範なリスナーに届いた。楽曲の格式と親しみやすさの両立が、時代を超える普遍性を生んだといえる。
有名な演奏・映画での使用
もっとも著名なのはナット・キング・コールのバージョンで、滑らかなフレージングと繊細な伴奏が曲の魅力を決定づけた。原曲は映画『キャプテン・ケリー』で用いられたのち、ラジオやテレビを通じて広まる。以降はジャズ・シンガーからカントリー、ロカビリーまで幅広いアーティストが取り上げ、1959年にはカール・マンがロカビリー風のヒットを放つなど、多様な解釈が生まれた。現在もコンサートや番組の挿入歌として散発的に引用されている。
現代における評価と影響
今日、『Mona Lisa』は20世紀ポピュラー音楽の代表的バラードとして評価され、スタンダード曲集や歌唱コンテストの定番。絵画の象徴性を借りた比喩表現は、後続のラブソングにも影響を与えた。ストリーミング時代においてもナット・キング・コールの録音は安定した人気を保ち、入門者が古典に触れる入り口となっている。カバーの幅広さは、楽曲の骨格が強固で普遍的であることを示している。
まとめ
映画発のポピュラー・ソングでありながら、芸術作品への眼差しと人間心理の機微を併せ持つ点が『Mona Lisa』の特異性だ。抑制された旋律と余白の多い言葉が、聴き手それぞれの“微笑の謎”を映し出す。半世紀以上を経ても色褪せない名曲として、今後も多様な解釈とともに歌い継がれていくだろう。