His Eye Is on the Sparrow
- 作曲: GABRIEL CHARLES HUTCHISON SR,TRADITIONAL

His Eye Is on the Sparrow - 楽譜サンプル
His Eye Is on the Sparrow|歌詞の意味と歴史
基本情報
「His Eye Is on the Sparrow」は米国で生まれたゴスペルの賛美歌。作曲は一般にCharles H. Gabriel、作詞はCivilla D. Martin、発表は1905年とされる。英語詞で、多くの賛美歌集に収録され、礼拝・結婚式・追悼式など幅広い場で歌われてきたスタンダードである。旋律はシンプルで歌いやすく、独唱から合唱、会衆賛美まで編成を問わず定着している。
歌詞のテーマと意味
主題は新約聖書の言葉(マタイ10:29–31等)に根ざす「神の摂理」と「小さき者へのまなざし」である。小さなスズメでさえ見守られているなら、人はなおさら守られるという確信が、恐れや不安を乗り越える慰めとして歌われる。信仰の確信が個人の告白として語られ、悲しみや試練のただ中で心の平安を回復する、祈りと賛美が一体化した歌詞構造が特徴。比喩は平易で、聴き手の生活実感に寄り添う。
歴史的背景
20世紀初頭の米国はリバイバル運動が盛んで、伝道集会や聖歌の普及が加速した時期に当たる。本曲もその潮流の中で広く伝播し、都市部の教会や巡回伝道で用いられた。1905年刊行後、賛美歌集への採録を通じて教派を越えて歌われ、やがてゴスペル・レパートリーの核となった。作曲家Gabrielは多作で会衆向け旋律の名手として知られ、本曲の普遍性にも寄与した。
有名な演奏・映画での使用
Ethel Watersは本曲を象徴曲として愛唱し、自伝の題名を「His Eye Is on the Sparrow」としたことでも知られる。Mahalia Jacksonの録音は力強い信仰表現で高く評価され、以後の歌い方に影響を与えた。映画では『天使にラブ・ソングを2』(1993年)でLauryn HillとTanya Blountが印象的に歌い、新世代のリスナーにも浸透。合唱版、ゴスペル・クワイア、独唱ピアノ伴奏など録音形態は多岐にわたる。
現代における評価と影響
本曲は宗教音楽の枠を越え、希望と慰めの象徴として広く受容されている。音域と旋律線のバランスがよく、初学者から熟練歌手まで表現しやすい一方、解釈の深みも許容する。学校・コミュニティ合唱団の定番曲であり、フェスティバルや追悼式での選曲例も多い。ストリーミング時代においても多数のカバーが継続的に公開され、世代やジャンルを横断して歌い継がれている。
まとめ
「His Eye Is on the Sparrow」は、平易な言葉と覚えやすい旋律で、恐れを希望へと反転させる力を持つ賛美歌である。1905年の誕生以来、多様な歌手・編成で受け継がれ、礼拝から映画まで活躍の場を広げてきた。小さなスズメになぞらえた神のまなざしは、今日も変わらず聴き手の心を支える。