My Shining Hour
- 作曲: ARLEN HAROLD

My Shining Hour - 楽譜サンプル
My Shining Hour|楽曲の特徴と歴史
基本情報
My Shining Hourは、作曲ARLEN HAROLD(Harold Arlen)、作詞Johnny Mercerによる楽曲。1943年公開のハリウッド映画で初披露された英語詞のポピュラー・ソングで、その後ジャズ界で広く演奏されるようになり、現在ではジャズ・スタンダードとして定着している。恋と希望を肯定的に歌い上げる内容で、歌手による歌詞版はもちろん、器楽によるアドリブ主体のアレンジでも定番化。ミディアム〜アップテンポでのスウィング感を生かす演奏が多く、ジャム・セッションのレパートリーとしても親しまれている。初演時の詳細な歌唱者クレジットや邦題は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は高揚感のあるフレーズ運びと明快なカデンツで構成され、歌詞の前向きさを音楽的にも支える。コード進行はジャズの即興語法に適した循環を含み、II–V進行を軸にしたソロ展開が映える。ヴォーカルでは冒頭をルバートで導入し、途中からスウィングに乗せる手法や、ラストをタグ(終結句の反復)で盛り上げるアレンジがよく用いられる。インストゥルメンタルでは、テーマ提示後にコーラスを重ねてビルドアップし、ブリッジ部での和声の広がりを即興のポイントにすることが多い。テンポは中速寄りが扱いやすいが、バラードとしても成立する柔軟性がある。
歴史的背景
本曲は1943年の映画作品のために書かれ、スクリーン発のポピュラー・ソングとして世に出た。作曲のHarold Arlenは、映画やブロードウェイで数多くの名曲を生み、ジャズへ橋渡しする重要な作家として知られる。作詞のJohnny Mercerとの名コンビによって、映像文脈に耐えるドラマ性と、独立したスタンダードとして機能する普遍性が両立された。戦時下のアメリカにおける娯楽と希望の表現の一端を担った楽曲としても位置付けられ、その後、映画という初出の枠を超えてコンサートやレコーディングで定番化していく。
有名な演奏・録音
初出の映画版以降、多数の歌手・ジャズ演奏家が録音を重ね、ビッグバンドから小編成コンボ、ヴォーカルからインストゥルメンタルまで幅広く解釈が存在する。Harold Arlen作品集やジャズ・スタンダード集に収められる機会も多く、ステージのオープナーやアンコールに選ばれることもしばしば。代表的な特定録音の網羅的リストは情報不明だが、歌詞のメッセージ性を前面に出すヴォーカル版と、ハーモニーの妙を掘り下げる器楽版の双方で長年支持されてきたことは疑いない。
現代における評価と影響
今日では、ジャム・セッションや音楽教育の現場で頻出するスタンダードの一つとして位置付けられる。メロディの推進力と調性感の明瞭さは、ヴォーカリストのフレージング練習や、即興の基礎力を養う教材としても有用である。また、映画発祥のポピュラー・ソングがジャズの語法の中で再生産され続ける好例として、レパートリー構築やプログラミングの観点でも重要度が高い。配信時代においても新録が途切れず、プレイリストやステージでの再演を通じ、世代を超えて親しまれている。
まとめ
My Shining Hourは、映画で生まれジャズで成熟した典型的なスタンダード。前向きな歌詞世界と、即興に開かれた和声・旋律構造が相まって、ヴォーカルとインストの双方で魅力を放つ。歴史的背景から演奏実践まで一貫した強度を持ち、今後もシーンで生き続ける楽曲である。