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Come Fly With Me

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY
#スタンダードジャズ
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Come Fly With Me - 楽譜サンプル

Come Fly With Me|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Come Fly With Meは、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy Van Heusen)、作詞サミー・カーン(Sammy Cahn)による1957年の作品。フランク・シナトラのために書かれ、翌1958年にビリー・メイ編曲・指揮による同名アルバムのタイトル曲として発表された。軽快なスウィングに乗せて旅と高揚感を歌う内容で、以後アメリカン・ソングブックを代表するジャズ・スタンダードとして広く親しまれている。ボーカル曲であり、多数の歌手・ビッグバンドがレパートリーに採用する定番ナンバーだ。

音楽的特徴と演奏スタイル

典型的な32小節AABA形式のミディアム〜アップテンポの4ビート・スウィング。上昇感のある冒頭フレーズや、ブラスが刻むリフ、ウォーキング・ベースが作る推進力が特徴だ。原曲のアレンジではトランペットやサックスの明快なコール&レスポンスが映え、シャウト・コーラス的な盛り上がりも聴きどころ。ライブではキー変更やエンディングの延長など即興的な展開が好まれる。歌詞の語感を活かしたアクセント配置が重要で、ドラマーはスウィング感と軽やかなリフト(浮遊感)を両立させるのが王道の解釈といえる。

歴史的背景

1950年代後半の“ジェット時代”到来と欧米の旅行ブームを背景に、空の旅への憧れや都会的洗練を描いた本作は、時代気分に合致して人気を獲得。シナトラのアルバム『Come Fly with Me』(1958)はビルボードのアルバム・チャートで首位を獲得し、楽曲名とイメージはシナトラの洗練された大人のエンターテインメント像を強く印象づけた。以後、クラブ、劇場、テレビ番組など多様な場で取り上げられ、スタンダードとしての地位を固めていく。

有名な演奏・録音

もっとも知られるのはフランク・シナトラによるオリジナル録音(1958、編曲:ビリー・メイ)。さらに、シナトラは『Sinatra at the Sands』(1966)でもカウント・ベイシー楽団と共に本曲をオープナーとして披露し、スウィングのダイナミズムを決定づけた。現代ではマイケル・ブーブレがライブで頻繁に取り上げ、若い世代にも橋渡し。ビッグバンドや大学ジャズ・アンサンブルの定番レパートリーとしても演奏機会が多い。

現代における評価と影響

旅や“飛翔”のメタファーは広告や映像作品での汎用性が高く、航空・観光を想起させる文脈でしばしば用いられる。一方で、歌詞の一部表現には時代性があり、現代の演奏では言い回しを調整する例も見られる。総じて、洒脱なメロディとスウィング・フィールは色あせず、アレンジ次第でビッグバンドから小編成まで柔軟に適応可能な“使える”スタンダードとして評価が定着している。

まとめ

Come Fly With Meは、1957年生まれのジャズ・スタンダードで、軽快なスウィングと上昇感あふれる旋律が最大の魅力。シナトラの名唱とビリー・メイの痛快なサウンドが礎を築き、以後も無数のカバーで生き続けてきた。旅するように音楽で“飛ぶ”感覚を喚起するこの曲は、今なおステージの幕開けや映像の導入を華やかに彩る、永遠のオープナーである。