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Never Let Me Go

  • 作曲: LIVINGSTON JAY,EVANS RAYMOND B
#スタンダードジャズ
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Never Let Me Go - 楽譜サンプル

Never Let Me Go|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Never Let Me Goは、作曲家コンビのJay Livingston(作曲)とRay Evans(作詞)によるバラード。1956年公開の映画「The Scarlet Hour」で使用され、その後ジャズ/ポップ双方の領域に広がって定番曲となった。切々とした恋の誓いを主題に据えた歌詞を持ち、内省的かつロマンティックな雰囲気で歌い継がれてきた。映画発のポピュラー曲として生まれながら、今日ではジャズ・バラードの重要レパートリーとして位置づけられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲は落ち着いたバラード・テンポで演奏されることが多く、伸びやかな旋律線が特徴。歌やサックスがレガートで長いフレーズを歌い込むと映える構造で、ピアノ・トリオやギター・デュオでも映える。和声は穏やかだが表情の幅があり、リハーモナイズやテンポ・ルバートの前奏・後奏を加えるなど、解釈の余地が大きい。ヴォーカルではブレス配分とダイナミクスの緩急、インストゥルメンタルではサスティン豊かな音色作りが要となる。

歴史的背景

Jay Livingston & Ray Evansはハリウッドを中心に活躍し、「Mona Lisa」「Que Sera, Sera」などで知られる名コンビ。Never Let Me Goは映画由来の楽曲として誕生し、当時のアメリカン・ポピュラー音楽が映像と密接に結びついていた時代性を反映している。やがてジャズ・ミュージシャンが取り上げることでステージ・レパートリーに定着し、スタンダード化が進んだ。

有名な演奏・録音

初期の代表的録音としては、ナット・キング・コールによる歌唱が広く知られる。温かい声質で曲のロマンティシズムを端正に描いた解釈は、後続の歌手に大きな示唆を与えた。また、サックス奏者スタンリー・タレンタインは1963年のアルバム「Never Let Me Go」(Blue Note)でタイトル曲として取り上げ、オルガンを配した編成でソウルフルかつスモーキーな魅力を引き出している。以降も多数のジャズ歌手・器楽奏者が録音し、世代を超えて受け継がれている。

現代における評価と影響

本曲は“静かに語る”タイプのバラードとして、クラブ・ギグからホール公演まで幅広い現場で選曲される。歌詞の親密な語り口は現代のリスナーにも通用し、演奏面では抑制と余白を生かす美学を学べる教材として評価が高い。ジャズ教育の文脈でも、バラード・フィールの養成や歌伴のダイナミクス設計を学ぶ題材として重用されている。

まとめ

Never Let Me Goは映画発のポピュラー曲として生まれ、豊かな叙情と普遍的な恋のメッセージによってジャズ・スタンダードへと進化した。シンプルだが奥行きのあるメロディと和声は、多様な編成・解釈を受け入れ、名演を生み続けている。入門者にも演奏者にも推薦できる、時代と場面を選ばないバラードである。