あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Off Minor

  • 作曲: MONK THELONIOUS S
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Off Minor - 楽譜サンプル

Off Minor|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Off Minor』は、セロニアス・モンク作曲のジャズ・スタンダード。一般に器楽曲として演奏され、歌詞は存在しない。初出や厳密な出版年は情報不明だが、モンクの初期録音と結びついて語られることが多い。鋭角的なマイナー主題と独特の和声処理が核で、タイトルの由来も情報不明。クレジット表記は本稿入力に従い“MONK THELONIOUS S”。

音楽的特徴と演奏スタイル

テーマは跳躍と半音階が交錯し、2度や4度を含む硬質なボイシング、裏拍の強調、意図的な休符が緊張感を生む。和声はマイナー基調にオルタードやクロマチックな進行が重なり、ガイドトーンの滑行とテンションの選択が即興の肝。テンポはミディアム〜ミディアム・アップが定番で、コンピングは動機の断片化とリズムのずらしが効果的。ベースは重心の明確化と経過音の設計、ドラムはシンコペーションとスペースの配分で推進力を作る。

歴史的背景

戦後ニューヨークのビバップ隆盛期に形成されたモンク語法の一角で、52丁目のクラブ文化と録音技術の進展が背景にある。ブルーノート期の自己名義セッションで名が広まり、後年のレーベル移籍後もレパートリーとして継続的に演奏された。鋭い不協和処理と独特の間合いは当初賛否を呼んだが、のちにモダン・ジャズの語彙を更新する里程標として認識されるに至った。

有名な演奏・録音

代表例として、モンク自身の初期ブルーノート録音(『Genius of Modern Music』関連音源)が広く参照される。編成はソロ、トリオ、カルテットから、後年のアンサンブル拡張版まで多彩。ほか多数のモダン・ジャズ奏者が取り上げており、教育現場でも吹奏・演奏課題として定着している。特定の年次・盤に関する網羅的ディスコグラフィは本稿では情報不明。

現代における評価と影響

『Off Minor』は、モンク作品特有の“角ばった歌心”を学べる教材として重視される。複雑さと歌えるラインの均衡、スペースの使い方、ビートに対する斜めの視点は、ピアニストのみならず全楽器の即興語彙を拡張。リハーモナイズやモチーフ開発の練習素材としても有用で、セッションの現場ではキーやテンポの解釈を変えながら演奏され続けている。

まとめ

鋭利な主題、クロマティックな和声、リズムのずらし——『Off Minor』はモンク美学の縮図であり、解釈の自由度も高い。基本動機を尊重しつつ、自身のタイムと音色で物語を紡ぐことが演奏の要点だ。楽曲理解と創造的即興の両輪を磨くうえで、今なお第一線の教材であり続ける。