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My Favorite Things
- 作曲: RODGERS RICHARD

My Favorite Things - 楽譜サンプル
My Favorite Things|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「My Favorite Things」は、Richard Rodgers作曲、Oscar Hammerstein II作詞による楽曲。初出は1959年のブロードウェイ・ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』で、のちに1965年の映画版でも広く知られた。3拍子のワルツとして書かれ、歌詞の全文はここでは割愛するが、後年は歌もののみならず器楽曲としても頻繁に取り上げられ、ジャズ・スタンダードとして定着している。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は明快なモチーフの反復と転調感で構成され、3/4拍子の軽快さが魅力。ジャズではワルツのパルスを保ちながら、モーダルな発想やペダルトーン上での即興、倍速感の展開など多彩なアプローチが定着した。ボーカルでは言葉のリスト感を生かしたフレージング、インストでは長尺の即興とダイナミクスの対比がよく用いられる。テンポや形式の拡張が容易で、トリオからラージアンサンブルまで適応範囲が広い点も演奏家に重宝される理由である。
歴史的背景
本作は作曲家ロジャースと作詞家ハマースタイン二世の名コンビの晩年の成果で、舞台では主人公マリアが子どもたちを励ます場面で歌われる。ブロードウェイの成功を経て、映画『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)の劇中歌として世界的に浸透し、以後ジャズやポップスのレパートリーへと広がった。舞台・映画双方での知名度が、スタンダード化を後押ししたといえる。
有名な演奏・録音
ジャズにおける決定的な転機は、John Coltraneがアルバム『My Favorite Things』で発表した演奏(1961年リリース)。ソプラノサックスを前面に据えた長尺の即興で楽曲の新たな可能性を示し、以後の解釈の指標となった。映画版ではJulie Andrewsの歌唱が決定版として知られ、サウンドトラックを通じて幅広い層に浸透。以降も多くの歌手や器楽奏者が録音し、ビルボードやジャズチャートの定番選曲として息長く親しまれている。
現代における評価と影響
教育現場やセッションの定番曲として取り上げられ、3拍子ジャズの入り口となることが多い。ミュージカル文脈では家族向けの名曲として親しまれ、ポップカルチャーでは季節のプレイリストで耳にする機会もある。アレンジ面ではテンポの変化、メドレー化、和声の再構成など再解釈が活発で、ジャンル横断的に受容され続けている。原曲の親しみやすさと即興素材としての柔軟性が、高い評価を支えている。
まとめ
舞台発の名曲でありながら、ジャズ・スタンダードとしても確固たる地位を得た「My Favorite Things」。明快な旋律とワルツの推進力が、歌唱にも器楽即興にも映える普遍性を持つ。歴史的背景の豊かさと演奏面での拡張性が共存し、今後も演奏家と聴き手の双方に新しい発見を与え続けるだろう。