愛の挨拶
- 作曲: ELGAR EDWARD

愛の挨拶 - 楽譜サンプル
愛の挨拶|作品の特徴と歴史
基本情報
エドワード・エルガー作曲の「愛の挨拶(Salut d’Amour)Op.12」は、1888年に作られ、1889年に出版された小品。原曲はヴァイオリンとピアノのためで、のちに管弦楽版や独奏楽器版、ピアノ独奏版など多くの編曲が生まれた。調性はホ長調、演奏時間は約3分と親しみやすい。
音楽的特徴と表現
穏やかなカンタービレの主題を核とする簡潔な三部形式(A–B–A)。冒頭旋律はレガートと控えめなルバートが生む語り口が魅力で、内声の分散和音が温かな揺らぎを支える。中間部では和声とダイナミクスの変化で色調を変え、再現部で静かに回帰。フレーズの呼吸と歌心が表現の要となる。
歴史的背景
本作は、当時の婚約者キャロライン・アリス・ロバーツ(のちの妻)への贈り物として着想された。初題はドイツ語の「Liebesgruß(愛の挨拶)」で、出版社ショットが国際流通を見据えて仏題“Salut d’Amour”を前面に出し、広く普及した。エルガー初期の成功作として名声確立に寄与した。
使用された映画・舞台(該当時)
優美で親しみやすい旋律から、結婚式の入退場やロマンティックな場面のBGMとして広く用いられてきた。映画やドラマ、CMでの使用例も多いとされるが、特定の作品名・上演情報は情報不明。舞台音楽としての初演記録も情報不明である。
現代における評価と影響
今日ではヴァイオリン学習者の定番レパートリーであり、各楽器向けの編曲を通じて幅広い層に演奏される。コンサートのアンコールやセレモニー音楽としても定着し、クラシック入門曲の代表格として評価が高い。旋律美と形式の明快さが、時代を超えて魅力を保っている。
まとめ
「愛の挨拶」は、個人的な愛情から生まれた小さな宝石のような作品で、清澄な旋律と品位ある和声が聴き手を包む。編成や場面を選ばず活躍し、初学者から愛好家、プロにまで弾き継がれている。短い時間にエルガーの抒情が凝縮された不朽の名曲と言える。