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ERIC CLAPTON

Wonderful Tonight

  • 作曲: CLAPTON ERIC PATRICK
#洋楽ポップス
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Wonderful Tonight - 楽譜サンプル

Wonderful Tonight|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Wonderful Tonight」はエリック・クラプトンが作詞作曲し、1977年のアルバム『Slowhand』に収録されたバラード。レーベルはRSO、プロデュースはグリン・ジョンズ。穏やかな6/8の揺れとクリーントーンのギター、余白を活かした伴奏が特徴で、メロディはGメジャーを中心に展開する。シンプルな構成ながら、クラプトンの抑制されたボーカルと滑らかなギター・オブリガートが、私的で親密な情感を引き立てる。のちにシングルとしても人気を博し、クラプトンの代表曲の一つとして広く認知されている。

歌詞のテーマと意味

歌詞の核は、パートナーの装いと存在に対する静かな賛美と感謝。華やかな比喩よりも日常の仕草や視線のやりとりを通じて、相手を気遣う語り手のまなざしが丁寧に描かれる。自己肯定感の揺れや、相手を思いやる言葉のやりとりが、親密な関係の機微を普遍的に伝えるため、世代や文化を超えて共感を呼ぶ。誇張を避けた直截的な表現と、柔らかなギターの質感が内容と完璧に同調し、ロマンティックでありながら押しつけがましくない愛の歌として位置づけられている。

歴史的背景

広く知られるエピソードとして、クラプトンが当時のパートナーだったパティ・ボイドを待つ間に着想を得たとされる。1977年、『Slowhand』の録音はロンドンのスタジオで行われ、プロデューサーのグリン・ジョンズが簡素で自然なサウンドを志向。翌年にかけて米国でヒットし、Billboard Hot 100で16位、英国シングルチャートでも上位に入ったと報じられている。派手なギターヒーロー像とは異なる、成熟したソングライティングの到達点として、その後のクラプトン像を決定づける重要曲になった。

有名な演奏・映画での使用

ライブでは1991年のロイヤル・アルバート・ホール公演を収めた『24 Nights』、2001年ツアーを収録した『One More Car, One More Rider』などで印象的なテイクが聴ける。カバーも多く、ブリティッシュR&BグループのDamage(1997)、カントリー歌手デヴィッド・カーシュ(1998)などが知られる。映画やドラマでの使用例は多数あるとされるが、具体的な作品名は情報不明。結婚式や記念日に選ばれる定番曲として、実演機会が極めて多いのも本作の特徴である。

現代における評価と影響

ストリーミング時代にも安定して聴かれ続け、スロウ・バラードの教科書的存在として音楽ファンと演奏家の双方に支持される。ギターのクリーン・トーン、控えめなビブラート、間合いの取り方は、ポップ/ロックのラブバラードにおけるサウンド設計の手本となった。ウェディング・ソングの定番としての市民権に加え、カバーの幅広さは曲の普遍性を裏づける。過度な技巧に頼らず感情のディテールで聴かせるアプローチは、今日のシンガーソングライター的美学にも通底している。

まとめ

「Wonderful Tonight」は、簡素な編成と誠実な言葉で親密な愛情を描き切った名曲。1977年の登場以来、ライブ、カバー、セレモニーの現場で生き続け、クラプトンの表現の核を示す作品であり続けている。これほど普遍的な共感を呼ぶのは、音と言葉が過不足なく結びつき、聴き手の個人的記憶に自然と重なるからだ。