Once In A While
- 作曲: EDWARDS MICHAEL

Once In A While - 楽譜サンプル
Once In A While|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Once In A Whileは、作曲マイケル・エドワーズ、作詞Bud Greenによる1937年発表のアメリカン・ポピュラー・ソング。後に多くのジャズ・ミュージシャンに取り上げられ、現在ではジャズ・スタンダードとしても親しまれている。哀愁を帯びた旋律とロマンティックな歌詞が核で、ラジオ時代のダンス・バンドからボーカル物まで幅広く浸透した。調性やテンポの解釈が自在で、バラードからミディアム・スイングまで対応できる汎用性が支持を集める。
音楽的特徴と演奏スタイル
構成は標準的な32小節形式が一般的で、流麗なメロディラインがフレージングの余地を大きく残す。ボーカルではレガート主体の息遣いとダイナミクスのコントラストが映え、器楽演奏ではリリカルなソロ展開が好まれる。和声は機能的で、転回・セカンダリードミナントを活かした穏やかな緊張と解放が特徴。アレンジ面ではイントロを新規素材で設けたり、終盤をリタルダンドで締めるなど、余韻を重視する解釈が定番となっている。
歴史的背景
1930年代後半、スイング時代の隆盛とともに、ダンス・バンドとラジオのネットワークがポップ・ソングの普及を後押しした。本作もその文脈で広く知られるようになり、シート・ミュージックの市場やレコード産業の整備が浸透に寄与した。美旋律志向の楽曲が求められた当時の潮流と合致し、ナイトクラブやホテルのボールルームでのレパートリーとして定着していく。
有名な演奏・録音
初期の代表例として、トミー・ドーシー楽団(vo.ジャック・レナード)による1937年の録音が広く知られる。ルイ・アームストロングも程なく取り上げ、ジャズ寄りの解釈に弾みをつけた。さらに、ドゥーワップ・グループのThe Chimesが1960年代初頭にポップ・チャートで成功を収め、楽曲は世代とジャンルを横断する存在として再評価された。以降も多数の歌手と楽団が録音し、ライヴ定番として息長く演奏されている。
現代における評価と影響
今日では、スタンダード集やフェイクブックにも収載され、ジャズ・ヴォーカルのリサイタル、ビッグバンドのバラード曲目、ポップスのカバー企画まで幅広く採用される。恋愛の機微を端正な旋律に乗せる設計は、世代を超えた共感を呼び、演奏家にとっては表現力と音色コントロールを示す好機となる。教育現場でも、歌伴アレンジやバラードのテンポ運用を学ぶ教材として活用されることが多い。
まとめ
Once In A Whileは、1937年の誕生以来、ポップとジャズの橋渡しを担ってきた名曲である。明快な和声と歌心に富む旋律は多様な解釈を許し、時代ごとのアーティストが新たな魅力を引き出してきた。定番曲としての普遍性を保ちながら、演奏者の個性を映す余白を残す点こそが、今なお愛奏される最大の理由と言える。