松田聖子

秘密の花園

#邦楽ポップス#歌謡曲

秘密の花園 - 楽譜サンプル

『秘密の花園』は、一般に松田聖子のシングルとして知られる日本のポップス。作曲は呉田軽穂（松任谷由実の作曲名義）、作詞は松本隆。発表は1983年とされ、耳に残るサビと流麗なコード進行で、80年代アイドル歌謡を象徴する一曲として語られる。権利保護のため歌詞全文の掲載は行わない。

歌詞は、ふたりだけの親密な世界を“花園”に喩え、秘密の共有が生む高揚と初々しさを描く解釈が一般的。無邪気さと成熟の境界に立つ語りが、香りや色彩といった感覚的語彙で情景を結ぶのが特色だ。直接的説明を避ける余白が想像力を喚起し、聴き手それぞれの“場所”を重ね合わせやすい。

背景には、職業作家の分業が頂点に達した1980年代前半の制作環境がある。松本隆×呉田軽穂という黄金タッグは、都会的なコード運びと繊細な語感で、アイドル歌謡にシティポップ的洗練をもたらした。呉田軽穂は、映画スター“フレッド・アステア”の漢字表記に由来する松任谷由実のペンネームとしても知られる。

有名な演奏はオリジナル歌唱の録音が中心で、歌番組やコンサート映像で広く親しまれてきた。カバーや編曲版の存在は確認されるが、網羅情報は情報不明。映画での使用についても一次資料が限られ、具体的作品名は情報不明とする。

近年は80年代再評価の潮流のなか、配信やSNS、プレイリスト文化でも再注目。明快なフックと短いモチーフの反復が現代のリスニング体験に適合し、初めて触れる世代の入門曲としても機能している。アイドル歌謡とシティポップをつなぐ架橋例としての価値が指摘される。

端正なメロディと詩情で“秘密”の喜びを描いた本作は、当時性と普遍性を兼ね備える名曲である。事実に即して基本点を押さえつつ、各自の解釈で味わいたい。