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One By One

  • 作曲: SHORTER WAYNE
#スタンダードジャズ
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One By One - 楽譜サンプル

One By One|楽曲の特徴と歴史

基本情報

ウェイン・ショーター作曲の「One By One」は、歌詞を持たないインストゥルメンタルの小編成ジャズ曲。初出年は情報不明だが、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのライブ盤『Ugetsu』(1963年、ニューヨークのバードランド録音)で広く知られるようになった。版権や出版社などの詳細は情報不明。ショーターの作曲家としての個性が集約された、現場で愛される定番レパートリーである。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くの演奏で中速〜アップテンポのスイング。短いモチーフの反復とリズムの切れ味が要で、3管編成ではユニゾンとハーモニーの巧みな配分、ドラムとのキメが聴きどころ。調性や具体的な形式は版により異なり詳細は情報不明だが、機能和声に基づく進行に予期せぬ転調感を織り込むショーターらしい語法が光る。アドリブは明快なリフを踏まえつつ、ラインの推進力とハーモニーの読み替えが求められる。

歴史的背景

ショーターは1959〜64年にメッセンジャーズの主要作曲家として活躍し、ハードバップからポストバップへ移行する過程で独自のモダンな書法を確立した。「One By One」もその成熟期に生まれた一曲で、バンドのアンサンブル重視の美学を端的に体現している。メッセンジャーズにおけるショーター作品群(例:独自の和声語法や緊密なテーマ構成)は、同時代の小編成ジャズの書法に大きな影響を与えた。

有名な演奏・録音

代表的録音は『Ugetsu』におけるメッセンジャーズの熱量あふれるテイク。メンバーはArt Blakey(ds)、Wayne Shorter(ts)、Freddie Hubbard(tp)、Curtis Fuller(tb)、Cedar Walton(p)、Reggie Workman(b)。ライヴならではの緊張感とダイナミクス、ホーンのハーモニーとドラムの押し出しがこの曲の魅力を際立たせる。同バンドの別ライブ音源でもしばしば取り上げられた。その他アーティストの録音詳細は情報不明。

現代における評価と影響

今日では小編成ジャズの定番曲としてセッションや音大のカリキュラムでも扱われることが多い。明確なリフとキメがアンサンブル力を引き出し、アドリブでは和声の流れを捉える耳とリズムの推進力が試されるため、学習・実演の双方で価値が高い。ショーターの作曲美学を理解する入口としても適しており、ハードバップ〜ポストバップの語法を実地で学べる教材曲として評価が定着している。

まとめ

「One By One」は、シンプルなモチーフに躍動感と構築性を備えたショーター作品の好例。初出情報の一部は情報不明ながら、メッセンジャーズの名演とともに受け継がれ、現代でも演奏現場で生き続けるスタンダードである。演奏者にとってはリズムとアンサンブルの精度を磨く格好の素材であり、聴き手にとってはモダン・ジャズの醍醐味を凝縮して味わえる一曲だ。