山口百恵
ロックンロール・ウィドウ
- 作曲: 宇崎 竜童

ロックンロール・ウィドウ - 楽譜サンプル
ロックンロール・ウィドウ|歌詞の意味と歴史
基本情報
宇崎竜童が作曲し、阿木燿子が作詞を担当した「ロックンロール・ウィドウ」は、1980年に発表された歌謡ロックの代表的楽曲。初出の歌唱は山口百恵。鋭いビートとドラマ性の高いメロディで、アーティストの成熟したイメージを押し出した。シングルとしての詳細な収録や編曲者、レーベルは情報不明。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“ウィドウ(未亡人)”は、恋人を失った喪失感と、ロックンロールという奔放な世界に取り残される孤独を象徴する比喩。歌詞は熱狂と倦怠、強さと脆さが交錯する一人称の語りで、相手と自分の距離を測りかねる心情を描く。攻撃的な語感と官能的なフレーズが、自己防衛と自立への衝動を同時に示す。ダンサブルな語感と“硬質な響き”の反復が、感情の昂ぶりと冷めた観察眼を共存させる点が特徴だ。
歴史的背景
1970年代末から80年代初頭の歌謡界は、ロックやニューミュージックの要素を積極的に吸収。宇崎・阿木コンビは、その潮流を大衆歌に融合させた立役者で、本作もその結実といえる。山口百恵にとっても、アイドル像からアーティスト性へ移行する局面を示す一曲として位置づけられ、ライブ演出の大胆さも話題となった。従来の歌謡曲の枠を広げ、バンドサウンドと劇性を正面から打ち出した点が時代性と響き合った。
有名な演奏・映画での使用
代表的な演奏としては、山口百恵による音楽番組やコンサートでのステージ・パフォーマンスがよく知られる。力強いボーカルとバンド編成が楽曲の骨格を際立たせ、視覚的な演出と一体化して作品のイメージを決定づけた。一方、映画やドラマでの明確な使用事例、ならびに著名なカバー・バージョンについては情報不明。
現代における評価と影響
鋭いリフと濃密な言語感覚は、歌謡曲とロックの接点を示す教材的な価値を持ち、後続世代の女性ボーカルが強靭な主体性を打ち出す際の参照点となった。ステージでの身体性と歌詞の物語性が高い次元で結びつき、日本のポップスが表現領域を拡張した例として現在も評価が高い。音楽制作の現場でも、語感重視の詞とタイトなリズム配置の相乗効果を学べる楽曲としてしばしば言及される。
まとめ
「ロックンロール・ウィドウ」は、比喩性の高い歌詞と躍動するロック・グルーヴで、時代の変化を鮮烈に刻んだ楽曲。情報不明点はあるが、作家性と歌唱が拮抗する稀有なポップスとして、いまなお聴き手に強い印象と解釈の余地を与え続けている。歌謡とロックの交差点に立つ名曲として、改めて聴き直す価値は大きい。