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Peri's Scope

  • 作曲: EVANS BILL
#スタンダードジャズ
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Peri's Scope - 楽譜サンプル

Peri's Scope|楽曲の特徴と歴史

基本情報

ビル・エヴァンス作曲「Peri's Scope」は、歌詞を伴わないピアノ・トリオ向けのジャズ・スタンダード。初出はビル・エヴァンス・トリオ(p: Bill Evans, b: Scott LaFaro, ds: Paul Motian)によるアルバム『Portrait in Jazz』(Riverside, 1960年発表。1959年録音)で、以降トリオ・レパートリーの定番として親しまれている。タイトルの語源は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

明快で跳躍感のある主題と、しなやかなスウィング感が魅力。エヴァンス特有のルートレス・ボイシングや内声の動きを生かした和声運用により、滑らかなテンション(9th, 11th, 13th)が自然に溶け込む。テンポは中速〜やや速めが好まれ、ウォーキング・ベースと繊細なブラシの対話が映える。ピアノ独奏だけでなく小コンボ編成でも機能し、アドリブではコード循環の解釈幅が広い。

歴史的背景

1959年、エヴァンスはマイルス・デイヴィス『Kind of Blue』参加後に自身のトリオで対話的アンサンブルを深化させた時期にあり、「Peri's Scope」はその美学を端的に示す初期オリジナルの一つと位置づけられる。ビ・バップ以降の語法に室内楽的な繊細さを与え、三者が対等に呼応する新しいピアノ・トリオ像の確立に寄与した。

有名な演奏・録音

代表的録音は『Portrait in Jazz』収録テイクで、エヴァンス、ラファロ、モチアンの緊密な会話が聴きどころ。再発盤や全集では別テイクが確認できる場合もあるが、版の詳細は情報不明。作曲者以外にも多くのピアニストが取り上げているものの、網羅的なディスコグラフィーは情報不明。

現代における評価と影響

現在もジャム・セッションや音楽教育の現場で定番曲として扱われ、ボイシング、ヴォイス・リーディング、インタープレイの教材として参照されることが多い。メロディの親しみやすさと和声の懐の深さが共存しており、編成やテンポに応じて多彩な解釈が可能な点が評価されている。

まとめ

「Peri's Scope」は、抒情性とモダンな和声語法を兼ね備えたビル・エヴァンス流トリオ美学の入口となる楽曲。まずは『Portrait in Jazz』のスタジオ録音で基準を掴み、自身の解釈で構成やダイナミクスを磨けば、現在のステージでも説得力ある演奏に結び付くだろう。