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Poinciana
- 作曲: SIMON NAT

Poinciana - 楽譜サンプル
Poinciana|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『Poinciana』は作曲: SIMON NAT(ナット・サイモン)、作詞: Buddy Bernier、1936年発表のポピュラー・ソング。英題は“Poinciana (Song of the Tree)”。歌詞付きながら器楽演奏でも定番化し、今日では代表的ジャズ・スタンダードとして広く認知される。
音楽的特徴と演奏スタイル
魅力は伸びやかな旋律と異国情緒のあるリズム。多くの演奏でボレロ/ルンバ系のグルーヴや、スウィングへの緩やかな切替が用いられる。反復と余白を生かすアレンジが映え、ピアノ・トリオからビッグバンドまで幅広い編成に適応する。
歴史的背景
1930年代アメリカでは南国・エキゾチック志向の楽曲が流行し、本作もその潮流で生まれた。曲名“Poinciana”は鮮やかな花を咲かせるホウオウボクのこと。制作背景の細部は情報不明だが、ラテン要素を帯びた作風が時代の耳に新鮮に響いた。
有名な演奏・録音
最も知られる録音はAhmad Jamal Trioが1958年に残したライヴ盤“At the Pershing: But Not for Me”。ドラマーVernell Fournierの独特のトムトム・パターンは“Poincianaビート”として語り継がれ、静謐で官能的なグルーヴが曲の再評価を決定づけた。以後、多数の歌手やビッグバンド、ピアノ・トリオがレパートリーに加えている。
現代における評価と影響
現在も、ボレロ系ビートとスウィングの融合、余白を生かす伴奏、旋律の歌わせ方など、アレンジ/インプロの教材として重用される。特にジャマルの間合いとダイナミクス設計は多くの演奏家に影響を与え、定番曲としての地位を不動にした。
まとめ
歌詞を備えつつ器楽でも映える『Poinciana』は、端正なメロディとラテン風味のリズム、歴史的名演に支えられ、今も第一線で演奏される。入門から上級まで、鑑賞・演奏の両面で長く味わえる一曲だ。