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My Foolish Heart

  • 作曲: YOUNG VICTOR POPULAR
#スタンダードジャズ
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My Foolish Heart - 楽譜サンプル

My Foolish Heart|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「My Foolish Heart」は、1949年公開の同名映画の主題歌として発表されたバラード。一般的な資料ではVictor Young作曲、Ned Washington作詞として記録されているが、本記事の入力上の作曲者表記は「YOUNG VICTOR POPULAR」。映画発祥のポピュラー楽曲ながら、のちにジャズ・シーンで定番化し、多数の歌唱・器楽演奏で親しまれている。歌詞は内省的で、恋心のもろさと慎重さのはざまで揺れる感情を描くが、本記事では歌詞全文の掲載は行わない。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポで、歌心に富む流麗な旋律と、半音階的に移ろう和声が特徴。細やかなダイナミクスと間合い、ルバートを活かした前奏や、テンション豊かなボイシングが効果的だ。ピアノ・トリオでは内省的なハーモニーの探求、ヴォーカルでは言葉の抑揚に合わせたフレージングが鍵となる。ブレス位置や語尾処理、遅れ気味のタイム感などバラード特有の表現が映え、キー設定やテンポは演者により幅があり、アレンジの自由度も高い。

歴史的背景

本作は戦後アメリカの映画産業とポピュラー音楽の結節点で生まれ、公開翌年のアカデミー賞歌曲賞にノミネート。映画自体の評価は賛否が分かれたが、楽曲は独立して支持を広げ、ラジオやクラブで取り上げられることでスタンダード化が進んだ。作編曲家や歌手がそれぞれの美学で再解釈し、ジャズ・バラードの王道レパートリーとして確立。旋律の普遍性と柔軟な和声設計が、多様な解釈を可能にした。

有名な演奏・録音

ビル・エヴァンス・トリオによる端正で陰影に富む演奏は、バラード解釈の手本として広く参照される。ヴォーカルではトニー・ベネットをはじめ、多くの歌手が録音を残し、歌詞の内省性と大人の哀感を強調してきた。サックスやギターの器楽版も多く、ライブでは自由なリハーモナイズやテンポ・ルバートの導入が定番化。特定の映画やドラマでの二次使用の網羅情報は情報不明だが、録音群は絶えず更新されている。

現代における評価と影響

現在もジャズ教育の現場で、バラードの表現・伴奏・インタープレイを学ぶ教材として頻繁に扱われる。セッションでは終盤やクールダウンの一曲として選ばれやすく、録音では音色や空間処理の美学を示す題材になっている。歌唱では発声支えとレガート、器楽では声部の独立や減衰コントロールが問われ、基礎力の試金石となる。クラシックやポップの奏者にも取り上げられ、ジャンル越境の好例として評価が定着した。

まとめ

映画発の叙情的バラードとして生まれ、ジャズ・スタンダードとして成熟した「My Foolish Heart」。歌と器楽の双方で映える旋律と和声、解釈の幅広さが長寿命の理由だ。初めて触れるならヴォーカル版とピアノ・トリオ版を聴き比べ、テンポ、間、コードの扱いを比較すると理解が深まるだろう。作曲者は一般的にVictor Young、作詞はNed Washingtonとされるが、出典表記の差異には留意したい。