アーティスト情報なし
Brazil
- 作曲: BARROSO ARY

Brazil - 楽譜サンプル
Brazil|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Brazil」はブラジルの作曲家アリ・バローゾ(Ary Barroso)による1939年の作品。原題はポルトガル語で「Aquarela do Brasil(ブラジルの水彩画)」、いわゆるサンバ・エグザルタソン(祖国礼賛サンバ)の代表曲として知られる。作詞は原詞もバローゾ自身で、英語詞はS.K. Russellが後年に付けた。初期の代表的録音としてフランシスコ・アルヴェスによるヴァージョンが広く知られ、その後世界的に「Brazil」の英題で普及した。歌詞全文の公開は不可。
歌詞のテーマと意味
本作は、国土の自然美、色彩、リズム、そしてブラジル人としての誇りを鮮やかに描く賛歌である。「水彩画」という比喩が示すように、風景や文化を絵筆で塗り重ねるように称揚するのが核心。恋愛や個人的内省ではなく、共同体と国家イメージを前面化する点が特徴で、サンバの躍動感と相まって明朗で高揚感のあるムードを生む。言及される地名・象徴は解釈に幅があるが、要旨は「多様で豊潤なブラジルの姿を音と詩で描く」ことに集約される。
歴史的背景
1930年代末のブラジルは、ラジオ網の拡充と都市文化の発展の中で国民的アイデンティティの再定義が進み、音楽では祖国賛歌的なサンバが台頭した。1939年に発表された本作はその潮流を象徴する存在となり、国内で広く親しまれたのち、第二次世界大戦期の文化外交やレコード流通を通じて国外へも拡散。とりわけ米国での受容が強く、のちの映画やビッグバンド編曲を経て、ブラジル音楽を象徴するナンバーとして国際的な地位を確立した。
有名な演奏・映画での使用
ディズニーのアニメ映画「ラテン・アメリカの旅」(1942年)での使用が世界的ヒットの決定打となったほか、テリー・ギリアム監督の映画「Brazil」(1985年)でも主題モチーフとして印象的に採用された。録音ではフランシスコ・アルヴェスの初期ヴァージョンに加え、ジョアン・ジルベルトがアルバム「Amoroso」(1977年)で洗練されたボサ・アレンジを提示し、以後ジャズやラテンの定番レパートリーとして多くの歌手・器楽奏者に取り上げられている。
現代における評価と影響
「Brazil」はブラジル音楽を代表する名曲として、サンバ、ボサノヴァ、ジャズの橋渡しを果たすスタンダードとなった。祝祭的なリズムと覚えやすい旋律は映画、広告、ショー音楽でも頻繁に引用され、世代や国境を超えて流通。音楽教育や研究でもサンバ・エグザルタソンの典型例として参照され、ブラジル文化の象徴的アイコンとして今日まで高い認知を保っている。
まとめ
Ary Barrosoの「Brazil(Aquarela do Brasil)」は、祖国賛歌のスピリットと洗練されたサンバ語法を併せ持つ不朽の名曲である。1939年の誕生から映画での再解釈、数多のカバーを通じ、楽曲は常に新しいコンテクストで響き続けてきた。歌詞の全容はここでは扱えないが、核心にあるのは「ブラジルという多彩な水彩画」への讃美であり、その魅力は今なお色褪せない。