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Allez-vous-en, go away

  • 作曲: PORTER COLE
#スタンダードジャズ
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Allez-vous-en, go away - 楽譜サンプル

Allez-vous-en, go away|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Allez-vous-en, go away は作曲家コール・ポーターによる歌もの楽曲。ミュージカル Can-Can に由来し、ブロードウェイ初演は1953年。作曲・作詞ともにポーターで、英語詞にフランス語のフレーズを織り交ぜた洒脱な表現が特徴です。タイトルが示す通り、仏語と英語で去ってほしいと告げる語感の楽しさが核にあり、恋の駆け引きを軽やかに描く内容として親しまれてきました。初出キーや初演時の具体的な配役・場面番号、譜面の版指定など詳細は情報不明。現在はショー・チューンとしてのみならず、ジャズ・スタンダードの文脈でも広く演奏されます。

音楽的特徴と演奏スタイル

中庸のテンポでよく映えるメロディ・ラインと、言葉遊びを引き立てるフレーズ設計が魅力。ヴァースからコーラスへ滑らかに展開し、ブリッジで色彩を変える典型的なポーター節を備えます。ジャズではスウィング寄りのリズムに載せたピアノ・トリオやギター主体の小編成でのアレンジが定番で、ブラシを用いた柔らかなグルーヴや、軽快な二拍感での解釈も親和性が高いです。ヴォーカルは語感を生かした間合いとディクションが要で、英仏の切り替えをニュアンス豊かに表すと曲の洒脱さが際立ちます。転調や終止のさりげないひねりも、即興やリハーモナイズの余地を与えます。

歴史的背景

ポーターが戦前から培った都会的ユーモアと洗練を、パリを舞台とする Can-Can で再提示した1950年代初頭の文脈に位置する楽曲です。同作には I Love Paris や C’est Magnifique などフランス趣味をまとったナンバーが並び、Allez-vous-en, go away もその一角を占めます。舞台音楽としての機能性と単独曲としての完成度が両立しており、初演直後からショー・チューンのレパートリーとして定着。のちにジャズ・シンガーやコンボによる解釈が増え、ブロードウェイ発の歌がスタンダード化していく流れの中で存在感を高めました。

有名な演奏・録音

基本参照音源としてブロードウェイ・キャスト・アルバムが挙げられます。その後、ヴォーカルを中心に多くのジャズ・アーティストが録音・採譜し、ラウンジ的なムードからスウィンギーな小編成まで幅広い解釈が生まれました。ビッグバンド用のアレンジも流通し、エレガントなショー・ピースとしてコンサートやクラブで取り上げられる機会が多い点も特徴です。個別の代表的録音や映画での具体的使用情報は情報不明ですが、ポーター作品集やスタンダード集に収められることが多く、入手や研究の手がかりは豊富です。

現代における評価と影響

今日では、英仏の語感を生かした洒脱なレパートリーとして、ジャズ・ヴォーカルのステージやキャバレー・ショー、音楽学校の発表会などで重宝されています。過度な技巧を要さず、しかし表情と機知を求めるバランスがよく、ディクションや間合い、ストーリーテリングの教材としても有用です。配信環境の拡充により多様なテンポ・編成の録音にアクセスしやすくなり、アレンジャーや伴奏者による新解釈も更新が続いています。結果として、ポーターのソングブックにおける一曲として安定した評価を保っています。

まとめ

Allez-vous-en, go away は、コール・ポーターの都会的センスと機知を凝縮した一曲。舞台由来の親しみやすさに加え、ジャズ解釈で映える余白を備え、時代や編成を超えて歌い継がれてきました。フレーズの切れ味、言葉の響き、軽やかな推進力をどう生かすかが演奏の肝であり、スタンダードとしての柔軟性が魅力を支えています。詳細な初演データや映画での使用情報は一部情報不明ながら、キャスト録音や楽譜資料を入口に、歴史と実演の双方から味わいたい名曲です。