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Blow, Gabriel, blow

  • 作曲: PORTER COLE
#スタンダードジャズ
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Blow, Gabriel, blow - 楽譜サンプル

Blow, Gabriel, blow|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Blow, Gabriel, blow」はコール・ポーター作曲のショー・チューンで、1934年初演のブロードウェイ・ミュージカル『Anything Goes(エニシング・ゴーズ)』で初登場しました。作品内では、ヒロインのリノ・スウィーニーが率いる大規模なアンサンブル・ナンバーとして披露され、強力なベルティングとゴスペル風のコール&レスポンスが特徴です。初演の舞台ではエセル・マーマンが原役を務め、この曲は彼女の代表的ナンバーの一つとして知られるようになりました。以後のリバイバル公演でもたびたびクライマックスを担う定番曲として扱われています。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、天使ガブリエルに「ラッパを吹け」と呼びかける宗教的モチーフを借りながら、主人公の悔悟と再生をドラマティックに描きます。物語上、リノは享楽的な夜の女王から「改心」へと向かう心情を明快に宣言し、音楽的にもゴスペルの祝祭感でそれを可視化。宗教的比喩は厳粛さよりも高揚感の演出に重きがあり、ブロードウェイ流のウィットで世俗的娯楽とスピリチュアルなイメージを横断します。結果として、罪の清算、解放、そして新たな門出という普遍的テーマが、観客参加型の盛り上がりによって強く印象付けられます。

歴史的背景

1930年代前半のブロードウェイは、ジャズやダンス音楽と結びついた華やかなショー・ナンバーが観客に求められた時代でした。大恐慌下の気分を吹き飛ばす娯楽として、豪奢なコーラスとビッグバンド的サウンドが重宝され、本曲もその要請に応えた一例です。ポーターは洗練されたハーモニーと都会的なユーモアで知られ、「Blow, Gabriel, blow」でも教会音楽の語彙を舞台的カタルシスへ転化。『エニシング・ゴーズ』全体が持つ「軽妙さと機知」に、本曲はスピリチュアルな熱量を加える役割を果たしました。

有名な演奏・映画での使用

初演キャストのエセル・マーマンに加え、ブロードウェイ/ウエストエンドの各リバイバルで多くのスターが歌い継いできました。特に1987年ブロードウェイ再演や2011年の再演版では、強靭なベルティングと迫力あるアンサンブルが評価され、キャスト録音も人気です。コンサート形式やショークワイア、大学ミュージカルでも定番曲として取り上げられ、ビッグバンド的編成やゴスペル・クワイアを伴う編曲が数多く存在します。映画での具体的な使用情報は情報不明。

現代における評価と影響

本曲は、ショー・チューンとゴスペルの融合例として今日も高く評価されています。歌唱面では、強いミックスやベルト、高いステージ・プレゼンスが求められ、オーディションやショーケースでも人気。編曲の自由度が高く、クワイアやブラスを拡張すれば壮麗な舞台効果を得られる一方、小編成でもリズムの推進力で観客を引き込めます。結果として、世代や編成を超えて演奏されるレパートリーに定着し、コール・ポーターの作家性を体感できる入門曲の一つとして位置づけられています。

まとめ

「Blow, Gabriel, blow」は、1930年代ブロードウェイの華やかさと、ゴスペル的高揚感を融合した名曲です。悔悟と再生という普遍的テーマを、観客と一体になるアンサンブルで描き、今日まで舞台で生き続けています。ショー・チューンの魅力とコール・ポーターの巧みさを同時に味わえる一曲と言えるでしょう。