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Martians Go Home

  • 作曲: ROGERS SHORTY
#スタンダードジャズ
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Martians Go Home - 楽譜サンプル

Martians Go Home|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Martians Go Home は、トランペッター/編曲家ショーティ・ロジャース(Shorty Rogers)作曲のインストゥルメンタル。作曲年・初出音源は情報不明だが、西海岸ジャズ(クール・ジャズ)の文脈で語られる代表的レパートリーの一つとして知られる。軽妙なタイトルは彼の“火星人”モチーフを冠した楽曲群の系譜に連なり、ユーモアと都会的洗練を併せ持つ作風を象徴している。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快なスウィング感と明晰なホーン・ボイシングが核。トランペットとサックスのリフが対位法的に絡み、要所にブレイクやリズミックなヒットが配される。旋律はキャッチーながら角の立つラインで、アンサンブルのタイトさと即興ソロの開放感が鮮やかに対比される。テンポやキーは録音ごとに異なる可能性があり、編成は小コンボからアンサンブル拡大版まで幅広い。いずれもクールで乾いた音色と明るい音響設計がポイントとなる。

歴史的背景

1950年代の米西海岸では、映画・テレビ産業に隣接した音楽家ネットワークが隆盛し、整然としたアレンジと洗練されたサウンドを特徴とする西海岸ジャズが発展した。大衆文化ではSF映画や宇宙への関心が高まり、タイトルに“火星”を冠する遊び心は当時の空気を反映している。ショーティ・ロジャースはこの時代の中心的存在で、軽妙かつ緻密な筆致でシーンを牽引し、本曲もその美学を凝縮した一例として位置づけられる。

有名な演奏・録音

決定的音源の詳細は情報不明だが、ショーティ・ロジャース&ヒズ・ジャイアンツによる録音はしばしば基準として参照される。彼の編曲語法に則ったホーンのレイヤリング、ソロの受け渡し、テンションの作り方が、本曲の魅力を最も端的に伝える。後年には小編成のジャム・ナンバーとしても、アンサンブルを強調したバンド版としても取り上げられ、各陣営が自らの音色とグルーヴで個性を与えてきた。

現代における評価と影響

Martians Go Home は、ウェストコースト的なクールネスとジャズの機知を兼備した教材曲/レパートリーとして今日も価値を持つ。アンサンブルの精度、ブラスの発音、リフの受け渡し、ソロの起伏など、演奏面の学びが多く、ステージでも映える。SF的ユーモアを表題に宿しつつ、音楽は本格派の作りで、時代性を越えてプログラムに彩りを添える存在として評価され続けている。

まとめ

ショーティ・ロジャース作曲の本曲は、洒脱なアレンジとキャッチーな主題、機知に富むリズム設計で西海岸ジャズの魅力を体現する。作曲年や初出など一部は情報不明ながら、録音や演奏を通じて磨かれたスタンダード的資質は揺るがない。ユーモラスなタイトルに誘われて耳を傾ければ、緻密な設計と軽やかなグルーヴが共存する名品であることがわかるだろう。